このレビューはネタバレを含みます
違う惑星に迷い込んだみたいなジェームス。
プラネタリウムみたいな世界の外側には、やっぱり宇宙が広がっていて、人間は一人ひとりが宇宙みたいな存在だったりする。
天体望遠鏡を覗き込んで見えるのは、普遍的な価値観。照らされる事で輝く星。
私たちは、集団の中で育っていくうちに余計なものまで学んでしまう。そうやって純度が下がって、輝きを失っていく。常識ってスケールに自分を落とし込んで、どんどんと小さくなっていく。そういった物との向き合い方を考えさせられました。
誘拐と監禁の被害者が主人公の作品で、こんな柔らかくて優しいテイストというのがとても面白い。だから余計に…自分の目に張り付いた、歪んだレンズを意識させてくる。
輝きを失って、空が真っ暗になったら…
何処を進んでるのか、何処を目指せばいいのか解らなくなっちゃうよね。
たったひとつでも、目印になる星があればいい…だから、ジェームスと彼を取り巻く人たちにとっての明星が、ブリグズビー🌟
誘拐犯によって作られた存在が、被害者たちを救う…罪を憎んで人を憎まずを体現するようなあたたかいストーリー。
劇中劇を辿りながら、私たちも軽やかな気持ちへと導かれる…そんな素敵な作品でした。
最後に語りたいのは…
誰もがジェームスであるということ。
可能性の扉には鍵が無い。
開けようと思えば、開ける事ができる。
扉を頑なに閉ざしているのは…
私たち自身。