ベルサイユ製麺

BRAVE STORM ブレイブストームのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

BRAVE STORM ブレイブストーム(2017年製作の映画)
3.9
2050年。
地球を強襲したキルギス星人の操る巨大ロボット“ブラックバロン”が地球をキルギス星人の暮らしやすい環境に変えるために化学物質を大気に散布。その物質は人間にとっては有害で、結果96%の人類が絶命、今や人類の未来は風前の灯火である。
そんななか立ち上がった春日五兄弟。次男の光二が強化スーツ“シルバー”を身に纏いキルギス星人の基地に潜入!ブラックバロンの設計図データを奪って逃走。しかし追っ手がせまる!
…のとこまでを、ブラックバックに文字だけで説明‼︎ ネトウヨが好きな文字が流れるだけの動画かと思ったよ…。ウヨウヨ不安は募ります。

…しかし、実際観てみるとコレは!!
ノレる!!!コレが俺にとっての『シン・パシフィック・リム』!!!!!

以下、ストーリーの流れを説明↓
現代。プロボクサーでありながら地下格闘技大会の常連である紅 健。ある日の試合、対戦相手の冴えない(ホントに!)ひ弱な男にボコボコにされる。実はこの男はロボットで、あわや撲殺というところを旧ドリカム構成の若者達に助けられる。
彼らのアジトに連れていかれた健は、数年前に失踪したきりだった科学者である兄、健一郎と再開する!健一郎の話によれば…
数年前、彼の研究室にタイムスリップしてきた春日兄弟の光二、光三、はるか。彼らはロボット工学の権威である健一郎に巨大ロボットの設計図データを届け、数年後のキルギス星人のブラックバロンによる襲撃に備え、奴らに対抗しうる巨大ロボット兵器“レッドバロン”の建造を頼んできたというのだ。健一郎博士はその依頼を引き受けるにあたって或る条件を提示する。その条件とは…!
因みに…
⚫︎光二は強化スーツを着る格闘エリート
⚫︎光三はエンジニア。スキャングラスで宇宙人の変身を見抜く!
⚫︎はるかはサイキック!
⚫︎光一はサイエンティスト。タイムトンネルの操作の為に未来に残った!
⚫︎ひとみは変にエロい。何故なら壇蜜だから!別に彼女まで未来に残る道理は無いのだが、明らかにカメオなので長々とは出ていられない。故に未来に残る!大人の❤︎事情だ‼︎

どのぐらいの方がピンと来ているか分かりませんが、今作は70年代の日本の特撮テレビ番組『レッドバロン』と『シルバー仮面』をまぜまぜしたリブート作なのです!ニッチ!
映画の成り立ちのアウトラインを聞いた限りだと不安感ばかり募ると思います。…ですよね。この手の企画が良かった試しはない。しかもメインキャストにメジャー俳優は居ない。自分も観るまではきっと河崎実作品みたいなの(が、どうとは言いませんが)だろうと思ってました。…でも、コレが!コレが超良い!!
ストーリーは結構ギリギリだけど気にならない!役者の演技、脚本もそんなに子供っぽくない!特撮は…ハリウッドのようにはいかないけどニチアサよりはうんと良い!デザインセンスはジャパニーズスタイルで(デザイナーは外国人なのだが)馴染みやすい!そして、詰め込めるだけ詰め込んだ、トータルの熱量が凄いんよ!!!
五兄弟の活躍は戦隊ヒーロー的で、シルバーの活躍は宇宙刑事的、更に巨大ロボット対決はウルトラマンサイズと、凡ゆるスケールで分かり易い見所が用意されております。
特にグッと来るのが、シルバースーツ!序盤如何にもコスプレ的なショボさを見せつけておいてから満を持して登場する後半のアップデートしたスーツの格好良さ!『アイアンマン』1作目の、あの感じです。ちょっと惜しいのは、素手での格闘のイマイチ動けてない感じなのですが…これは今後の課題ですね。そして、巨大ロボットバトル・in・銀座のど真ん中!しかも白昼堂々です!細かいとこまでよく見えて嬉しー。銀座なんかナンボでも壊したら良い。その足で首相官邸とオリンピック関連施設も頼むぞ!ロボットが鈍重なので格闘というより戦車戦に近い雰囲気でして、これはこれでリアリティ有るかもしれません。あと!はるかの剣技!カッケェ…。
まあ確かに、根本的な事で見栄えがチープという問題が有ります。これはもう好みの問題としか言いようが無くて、「アメコミ見慣れちゃったからコレは無理」という方もいらっしゃると思います。自分は「アメコミ見すぎちゃったからこそこういうのが観たかった」のです。『未来忍者』や『ゼイラム』がお好きなら合うと思います。D.I.Y特撮最高ですよ。予算が無いからって萎縮せずに、思いっきりやりたい事をやる。尊い!
…終盤にキルギス星人とシルバーが対面し、地球を狙った理由を問い詰めるシーンが有りまして、これが非常に示唆的なのです。…舐めやがってぇコンチクショー!お前、老いぼれたプラチク星人みたいで気持ち悪いんだよ!日本の特撮の運命は日本が決める!TOKUSATSU Forever!
監督、岡部淳也さん、元円谷プロの方だそうで、今作はプロデュース、脚本も手掛けられてます。元はレッドバロン×シルバー仮面×アイアンキングという企画だったそうなのですが、結果的に2作のクロスオーバーに絞ったそうで、これは大英断だと思います。混ぜ過ぎ注意。今作が従来の日本の特撮と違う点として「プレヴィズを行なった」と語っておりまして…、そうなんだ!普通の特撮映画ってプレヴィズ作んないのか!そりゃあ、あんな感じになるよな…。
作品は、如何にも続きそうな雰囲気で終わり、「to be continued…」と結ばれます。続き観たい!これは皆様にも是非観ていただいて、続編制作の機運を高めていただきたいです。

…スコア、すごく悩みました。平均スコアを上げる為に5.0にしたかったのですが、普段の自分のスコアの信憑性(←どうでもよい)を損なってしまいそうだし、止む無く感じたままに3.9にしました。これは“なんの期待もしてなかったのに観たら好みだった”点を加味してますので、ベタ褒めのこのレビューをお読みになってから鑑賞すると逆にもっとうんと良くなく思えてしまうかもしれません。
“全て個人の好み”である事を分かった上で敢えて書いてしまいますが、こういう作品にやたらと低い点数をつけてしまうのは悲しい事だと思います。『エンドゲーム』とかとおんなじ測りを使ってたら、もう見てらんないってなるかもしれませんけど、それじゃ国産エンターテイメント作品なんて完全に死滅してしまいますよ…。もっと志を評価してあげて欲しい。お金無しじゃ普通の人間にはペットボトルの蓋1つ作れないんですから…。