まりぃくりすてぃ

少女は夜明けに夢をみる/ 夜明けの夢のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

4.5
The world is so wrong. ──他人事じゃなく。

“更正施設” は少女たちが正気を保てる楽しい聖域であって、シャバこそが狂気の荒野、、という最初の15分ほどで私が受けた印象は、その後も喜怒哀楽をにぎにぎしく発しながら持続。イラン当局(や口うるさい慈善家目線?の欧米市場)に気をつかって最後こそ “夜明けを見つめる” っぽいセリフを少女の一人に言わせてるけど、絶望トーンがこってり続いた。続くべくして続いた。世界はおかしなままだから。その世界にはもちろん今の日本もアメリカも含まれる。映画なんて観てる場合じゃないんだよね!
神の仕打ちは、6(む)5(ご)1(い)。
てか、、「神はいない。人類は、獣」という真実を帰納的に証明するための一片として、こういうドキュメンタリーはある、ってことになる。(映画一般は、「愛の神がまるできっと、いる、みたいな、美しい世界。。 人間ってやっぱり素晴らしいよねッ!」という夢を私たちに捨てさせないためのファンタジーなのだけれど。)
私個人は、洞察と直感に基づいて自信満々に演繹的に「神はいない。死後の世界もない。人類は、獣。ただ、知能が少し発達したからほかの獣と違う行いをしてるだけ」と結論づけてる。イスラム教もユダヤ教もパウロ教もヒンズー教も大乗仏教も新興諸宗教もジャイナ教さえもほぼ全部デタラメな教義を持つ邪教だから可及的速やかに滅ぶべきだ、と知ってる。今から言っとくよ、私がめでたく全地上の独裁者になったら、宗教団体は基本的に全廃します。
まあ、私の信仰観なんて他者にとっちゃどうでもいいことだろうけど、どうでもよくない(由々しい)のは、「神の名を利用して女性に服従を強いてるやつら」があまりに地球上に多すぎた(多すぎる)こと。それにだけは苦情を言っとく。イランの聖職者だけじゃないよ、カトリックその他も、ほんとどいつもこいつも、母の腹から産まれてきたわずか数千グラムのガキだったくせに偉っそうに、バーカ。。

で、この映画に批評的意見を当てるのは意味なくて、私だからこそ言ってあげられる黄金的な助言を、添えておく。
「監督さん♂は、自分だけ優しい穏やかなイイ子ちゃんな紳士な声を出してばかりで、狡くない? もしも最後の最後に、イラン史上(てか世界宗教史上)最も女性を大切にする進歩的教義を持ってて迫害されたバハイ教に言及してたら、これ完璧映画になったかもしれないんだけども。『学費が足りない場合、男の子よりも女の子を通学させることを優先すべき。女の子は将来、母親として大切な役目を果たすのだから』とまで言った教祖バハー・ウッラー。それほどの素晴らしい漢(おとこ)をほかでもないイランが19世紀に生んだ、ってことを更生施設内の少女たちのやるせなさへの答えの一つとして監督がささやかな知識として観客に語る。そこまでやったら、監督は殺されたかもしれない。べつにいいじゃん。命を懸けろ! いいカッコばかりせず漢(おとこ)になれ!


651ちゃんと名なしちゃんが見分けつかなかったりした。絶望の流行歌が流れて合唱するところ、メロディー・歌詞・ノリともに最高だった。帰宅先のパパのキスもよかった。鬼畜な叔父も映るかと思ったが、さすがに現れなかった。叔父シネ。

岩波ホールの階段? もちろんいつもどおり10階まで自分の足で上ったよ。小さく掛け声しながら。