[自分の言葉]
結婚式を前日に控えたロブは、友人と夜の街へ繰り出すことに。ふと気がつくと、なぜかホテルのエレベーターの中で全裸になって倒れていた。何が起きたのか混乱しながら式場へと向かおうとするが、なぜかまた同じホテルのエレベーター内へと時間が戻ってしまう。
見る前は『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』のような「ハチャメチャな結婚前日」を描く物語だと思っていたけれど、蓋を開けてみたら、ビル・マーレイ主演『恋はデジャ・ブ』のような時間が何度もループする事で「自分を見つめ直す」までを描いた良くできたコメディ映画だと感じた。
ループが始まるまでに、ロブがどんな人間なのかをしっかり見せつつ、周りの友人たち、そして母親や彼女の父親の性格を見せた上でスタートするため、その後の展開が気持ち良く収束していく。
特に主人公ロブは規定の時間の仕事をしたがらず、宝クジを買う事で一攫千金を狙っていたり、結婚式も適当に乗り切ろうとする「子供」だという事がハッキリ提示されている。それもあり、序盤から中盤までテンション高めのコメディトーンでドタバタのテンポが加速していく。
しかし、ループを繰り返す事で主人公は周りの人々の様々な話を聞くことができ「子供から大人へ」と少しだけ成長していくと、映画のトーンが変わっていく。そして最後には私が好きな「自分の言葉を見つける物語」でもあった。
私も自分の結婚式の前は「こうした方がいいだろうか」「いや、やっぱりこの方が」なんて頭の中で何度も何度も時間をループさせていた事を思い出したりしていた。
この映画で感動してしまうのは、母親や相手の父親の気持ちもしっかり描いていたからだ。息子をどう思っていたのか、相手の父親は「結婚」というものをどう思っていたのか。この映画では、どちらも「片親」である事がその心情をより強く感じさせているのかもしれない。
私も結婚式の準備期間に、両親たちの話を聞く事でいろんな感情が湧きあがった事を覚えている。
とてもライトな作品ではあるけれど、『恋はデジャ・ブ』と同じ系譜の「軸」はしっかりとあったと思う。
もし結婚される予定がある方がいたら、私はこの作品をオススメするかもしれない。
(完全におせっかいですが笑)
なぜなら結婚式とは、
互いの両親のこれまでを聞き、
その言葉を胸に「自分の言葉」を見つけ、
それを相手へと送る。
そういった日になるだろうから。