ベルサイユ製麺

ライオンは今夜死ぬのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

ライオンは今夜死ぬ(2017年製作の映画)
3.7
『ライオンは今夜死ぬ』
…凄くイマジナリーなタイトルですし、なんかBLのタイトルみたいでも有りますね。恐らく金髪オールバックの攻めが子鹿の様な受けを面白半分で過剰に追い詰めた結果逆襲をくらう話なのでしょう。アレクサ、それ買っといて。なんちゃって!アレクサは有りません。咳をしても一人…。


年老いた大物役者ジャン。久し振りの撮影で、“死”の演技について悩んでいる。自分にとっての死とは…?
撮影の合間、息抜きに足を伸ばしたのは、若かりし日に、今は亡き最愛の人ジュリエットと過ごした思い出の街。そしてジャンはかつて彼女が暮した屋敷で、少女のままの姿のジュリエットの亡霊と邂逅する…。
一方その街のちびっ子ども。見慣れない老人がウロウロしてるのに興味津津。自前のカメラとガンマイクを持って追跡開始!…あの爺さん、屋敷に入っていったぞ?怪しい!

で、結局ジャンにあっさり見つかったちびっ子どもは、見ての通りに映画が大好きなので、本物の役者だと言うジャンに興奮!一緒に映画を撮ることになりまして…。

『ライオンは今夜死ぬ』は歌のタイトルだそうです。多分、おはようからおやすみまで暮らしを見つめ続けた結果過労死するとか、そんな歌詞のマイナー調の曲でしょう。
役者ジャンを演じるのはジャン=ピエール・レオ。ぬ〜べる☆ばーぐを代表する役者の一人だという知識だけあります。よく…しらな…
役者が役者を演じるのみならず、映画の中で映画を(しかも2本も)撮る!これはキャリア中そう何度も使える手では無いと思われますし、さぞかし体重の乗った濃ゆい作品になってるのでは?と思いきや、なんか凄く力が抜けているのです。ほえ〜。
役柄での死。実際の死。愛する人の死。命の塊の様な子供たち。彼らが撮る素朴で楽しい映画。キャリア最後になるかもしれない映画。これらの歯車部品を繋ぎ合わせる力を伝える、最も大きくて重要な歯車たる主人公ジャンが……もうおじいちゃんなので、程よくボンヤリしてるの。ほええ〜。
愛した人( 霊体)との再会にアムールを大爆発させる訳でも無く、かと思えば子供たちに怒ってリンゴを投げつけたりしつつも、ちびっ子映画の出演はすんなり引き受ける懐の深さ!これが老境の域というものなのか…。羨ましい!要、キャパシティ!
かくして、霊体との逢瀬、子供たちとの映画製作を経たジャンは、自分の“死”の演技のヴィジョンを胸に抱き撮影に挑むのでした…。やっぱり羨ましい。死を理解する事は、生を理解する事でもありますものね。ひたすらにポジティブである。

…とか、ここまで書いて何ですが、このレビューは作品の言わんとするところを上手く汲み取れてないまま書いた感があります。ちょっと気持ち悪いけどしゃあないっす。子供の閃きもレオ氏の円熟も自分には無いものでね…。
部分的な事で言えば、南仏の景色の美しさ、目の奥が冷えるような青が素晴らしい。あと“屋敷と幽霊”の組み合わせには、超大好きなトマス・ヴィンターベア監督の『セレブレーション』を彷彿とさせるものが有り心を動かされましたね。あー良かった。

…本作の監督、諏訪敦彦さんに関しては、自分はまるで知らないのでアレクサにでも聞いてください。それか、あなたの自慢のシネフィルの恋人にでも…。

…コホンッ