このレビューはネタバレを含みます
まずは羊から。
ずっと見たかったやつ。ティム・インゴルドの「生きることは線を生むこと」という言葉を思い出す。語りが良いです。
羊毛から紡がれた糸。色とりどりの糸。
靴下を編んでくれた祖母。母。
白い羊毛が高く売れるから白い羊が増えて他の色の羊が減っている。灰色の毛糸を使って、多様性万歳、全ての色を! なるほど。
フェミニストなヤーングラフティ・アーティスト。街を彩る毛糸、楽しい、美しい。『神様メール』のラスト、女神が再起動させた世界を思い出した。女性の世界はカラフルで、と男女二元論で語ってしまう発言は危うい気もしたけど、それはさておき。
実用的なものは果たしてアートなのか? と思ったりして。ファッションはアートではないとされてきた、ドキュメンタリー映画『メットガラ ドレスをまとった美術館』で言ってたな。女性とアートについて一度がっつり調べたいんだけど、どんな資料に当たれば良いのか。
糸が集まって布というコンチェルトを奏でる。
「なんでも褒めてくれるアメリカと違って、ポーランドではみんなが貶すの」
日本もそうだよ、褒めて伸ばすより虐めて篩にかけるよ、っていうか、アメリカの株めっちゃ上がるな?
スパイダーマンのコスプレしたお兄さんが人力車引いてくれるの、めっちゃ素敵な絵だった。
サーカスシルクール、なまえがいいな…楽しいな…
堀内紀子さん! 彫刻の森美術館の!? あのアスレチックを見てすぐわかった、すごい…日本人が出演していると知らなかったのでびっくりした、見てよかった。
紀という字は糸と己でできている、だからエゴが強くなった、糸を追いかける人生を送っている、すげえ。めっちゃ良いな。
「信じられない、1、2、3…4人もいる、あれがアート?」おばちゃん、最高だな!
毛糸は絵の具の代わり、手芸はアートとしてなかなか認めてもらえない、だから手芸展は断ってる、あーそうか、なるほどなあ…「女性が認められないのは才能がないからじゃない、性差別に凝り固まったクソな世界だからよ」こんなにハッキリ言ってくれるとは。そして字幕が女言葉なのが惜しいなと。
バイオリンを糸で弾く
かぎ針は六角形、化学式。蜘蛛は7種類の糸を使う。
解かれていく糸。
ニットの人魚。
見応えあった。良かった。