ベルサイユ製麺

女の一生のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

女の一生(2016年製作の映画)
3.3
今以上に映画を楽しむには“共感力”を上げる事が急務だと思われます!
かつて忍者たちは、特殊な訓練により共感する力を極限まで上げ、遂にはそのものに成り代わったと言います。皆様も忍者モノのフィクションなどで、間一髪というところで忍者が丸太などと入れ替わって命拾いするシーンをご覧になった事があるのでは無いでしょうか?あの術は忍者が、極限まで丸太に感情移入し、強く共感することによって成し遂げられいるのです。そう、…確か“わかりみの術”とか言ったと思います。
今作はフランスの作家モーパッサン原作、ある女性の数奇な人生を切り取った名作と誉れ高く、当然我輩と何の関係も無い!感想なんかあろう筈も無い。しかしこの難局も、“わかりみの術”でのりきってみせようじゃないか!


🌹少女ジャンヌは寄宿学校卒業後両親の元に戻って暮らしています。家庭菜園に精を出すジャンヌ。…そうだよね。すくすく育つ植物に自分の未来を重ね合わせるよね🙂

彼女が住むお屋敷をジュリアン子爵という優男が訪問。ジャンヌは恋に落ち、やがてふたりは結婚します。…いいと思う。ジュリアン優しそうだし、ジャンヌちゃんいいお嫁さんになれると思う!😉

結婚生活が始まると、以前は見えていなかったジュリアンの短所が見えてくるようになります。異常な倹約家。ジャンヌに対する態度も少しずつ冷淡になっていきます。…ジュリアン、分かるよ。安定が不安の種になるって事、あるよね。😣

ジャンヌの乳姉妹(初めて知った言葉です)のロザリの様子がおかしい…。彼女はいつのまにか身篭っていて、その父親はなんとジュリアン!
…誰に共感したら良いのだ。
みんな言い分があるだろうし、それぞれ正しいんだと思う!話し合って、わかり合おうよ!🙃

ロザリはお屋敷を追放されます…。しかし懲りないジュリアンは、知人のフルヴィル伯爵夫人と関係を持ちますよ!うちひしがれるジャンヌ!
…これは分かる!セールに行って他の人が確保してるカーディガンが気になってしょうがない時って有りますよね?完全にソレです!セールに行かないジャンヌが悪い!😛
※この後、原作では怒り狂ったフルヴィル伯爵が、ジュリアンとフルヴィル夫人が密会している小屋を谷底に落として殺害してしまうそうです。フルヴィル伯爵、テリー伊藤的なバラエティセンス有りますね!

物語後半戦。
(描写が無いので)いつのまにか未亡人になったジャンヌと息子ポールのお話になります。
ポールはいじめられっ子で、学校行くのイヤイヤらばかりです!…分かる!我輩もお仕事行くのイヤイヤ😵

月日は流れ、母の元を離れロンドンで暮らすポール。事業に失敗しただのなんだのと、金の無心の便りばかり寄越すようになります。
…それはマジで分かる。我輩も病院行くとかガラスが割れたとか言ってお金をもらったものです。反省してま〜す😗

…ああ、これでお話の八割ぐらい共感してしまったなあ。

今さら引き返せないから素直に書きますが、“わかりみの術”とか言ってレビューをやっつける作戦は失敗と言わざるを得まい。なんかすいません。

えーと…
時系列が前触れも無くシャッフルされ、また描写されない事柄も多く、まるで他人の走馬灯を見ているよう。仮にそうだとすると、思い返すべき事柄が悲しい事ばかりという哀れな女性の一生だったという事なのだろうか?
装い、建物やインテリアなど舞台の見た目は古典風ではあるのだが、ジャンヌの振る舞いや、語らい会う人々の姿は現代の人となんら変わらないように見えた。物語の普遍性を浮かび上がらせる狙いもあるのかと思われるが、些か浅薄に映ったのも事実ではある。
いずれにせよ古典の再解釈という難題に取り組む姿勢は支持すべきだし、女性の生き辛さは昔も今も本質的な部分で変わらない事を提示するのが狙いであるとすれば、わかりみしかない😆

重ね重ね、ほんとすいません…。