漱石枕流

デイアンドナイトの漱石枕流のレビュー・感想・評価

デイアンドナイト(2019年製作の映画)
3.9
以前、読んだ老子の解説本、こんな一文があった。〈もともと自然界には善悪などない。それは人間が作り出したものである〉と。

人間が作り出した者だから、その基準もすべて人間が決めている。でも、個人の考え方には相当の幅があるから、皆違う。もちろんそのために法律はあるのだけど、必ずしも市民の意見を束ねているわけではない——

この作品は、主人公とその父親が遺したものを通して〝真の善悪とは何か?〟を考えさせられる作品だった。その答えは出せようがない。世の中は勧善懲悪ではないから、割り切ることは不可能。

でも、この映画はなんとかひとつの方向性を出そうとしている。それは終盤で語られているが、これをどう受け取るかはひとそれぞれ。テーマも深いが、人間ドラマとしてもよくできている。

ミニシアター系だろうけど、一定の予算はかけられているようだ。チープな部分はまったくないし、退屈とも無縁。じつはまったく期待していなくて、たまたま時間が合っただけ。それだけに、思わぬ掘り出しものだった。

2023/09/13 WOWOW 4K
漱石枕流

漱石枕流