漱石枕流

オスロ、8月31日の漱石枕流のレビュー・感想・評価

オスロ、8月31日(2011年製作の映画)
3.5
若い頃にヘルマン・ヘッセの『車輪の下』を読んだとき、なぜこれが名作なのかまるで理解できなかった。主人公が自殺に至る過程をていねいに描写されているとは思うが、それだけでまるで救いがないように思えたからだ。

その後、友人と語り合ったりしたが、納得はできず。なので、今でもよくわからない。これが青年を自殺から救う物語なら話はわかる。もちろん、奥底にはそういう意図があるのだろうけど、私には無力感だけしか伝わらなかった。

そして本作にも同じものを感じた。

子供の頃に感じた郷愁を思い出させるタイトル。「あ〜あ、明日から学校か・・・」というなんとも重だるい感じ。ノルウェーの場合は、北国だけに完全な夏の終わりを意味するのだろう。

この、夏が去るという重だるさを、映画は主人公の人生に重ね合わせているのだと思う。が、観ていてしんどかった。まだまだ人生これからという青年が、こんなふうに病んで、絶望を抱いているなんて・・・

もう感想はそれだけしか出てこない。ちょっと見方を変えれば、いくらでも道は開けるのに——と私なんかは思うのだけど、まあたとえ本人を前にして言っても理解できないのだろう。最後は落ち込むしかない。そんな映画だった・・・

[オリジナル音声+日本語字幕]2024/01/13 WOWOW 4K(2023/09/16録画)
漱石枕流

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