ベルサイユ製麺

ママレード・ボーイのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

ママレード・ボーイ(2018年製作の映画)
2.3
昨日、5月14日はマーマーレードの日なのだそうです。友人とトランプに興じていたマーマレード伯爵が、フルーツの砂糖煮を食べたいが手を汚したくない。そこでパンにソレを塗りつけるという食べ方を考案したのが5月14日だったのです。凡ゆる記念日はこのパターンで決まっています。もれなく全部です。

面白くもなんとも無い嘘はさておき、そもそも“ママレードボーイ”って、タイトルはよく聞くけどどんな話はよく知らなくて、なんか“カブキマン”とか“ミキサー大帝”みたいな名前の付け方だなぁぐらいの印象しかなかったのですが、コレがもうホントにビックリですよ!!設定がいきなり狂ってる!
高校生の女の子とその両親からなる小石川家と、高校生の男の子とその両親からなる松浦家。両家の両親が同時に離婚し、伴侶をシャッフル(ソドミーでは無い)して再婚。6人で一緒に住む事にした!

…はあ⁈まるでスタンフォード大の実験かセックス教団のような狂った所業!監督ケヴィン・スミスとかじゃないよな…?
両親たち4人は和気藹々とお互いの腐臭を嗅ぎ合っておる中、いきなり知らないイケメンと暮らす事になった主人公・美希はコロコロと混乱したり怒ったりです。
イケメンの遊くんが、吉沢亮である事に暫く気がつかなかった。変な茶髪のせいで吉沢史上最もカッコよくない亮である。俺のてんよう君に吊りズボン以外履かせてんじゃねぇよ!そして、その他の若手俳優は主人公から脇に至るまで正真正銘カケラも知らない人たちだ!
一方、両親達は全員分かる。そもそもそんなオッさんが見るようなものでは無いに違いないのだが…、そんな事より、うわ〜筒井道隆!!!生存確認しましたよ!こんな奇妙な演技する人だったか…⁈
🍊と言うか、演技は皆んな奇妙です。セリフをまるで格ゲーのタメ技みたいに一気に吐き出す。一度喋り出したらまるで荻上チキが怒ってる時みたいに語り続ける。聴く方は黙って見ている。会話シーンはこれの繰り返し。
🍊人物が凄く直線的に動く!自分の意思でではなく操られるみたいにスタスタスタっと移動する。まるでAIが決めているみたい…。何度か、余りにも思い掛けないセリフが飛び出してきて、深夜一人で爆笑してしまいました。
🍊イベントが、まるで演し物のように順序正しく消化されていきます。この人のエピソード済んだから、ハイ次、ハイ次、ハイ次って感じ。これもなんだかゲームっぽい。結果、物語のコアになるべき“心の在りよう”みたいなものが空洞状態のまま、どんどん話がどっかに行ってしまいます!
🍊撮影…凄くクリア。クレーンなんだかドローンなんだか、スーっとリニアーに動きます。人物のショットも全てを均等にベタっと撮影してるので、なんだか早朝の定点カメラの映像を観てるような気分。全く“見せよう”という意思が感じられない…。
🍊物語の着地点!!!!!!!そして流れ出すエンド曲!知らないメーカーのMP3プレイヤーに入ってそうな曲!
…とか書き出すと、もう全てがどうかしてます。最初のうちはその狂いっぷりが面白くて何時間でも見れちゃうなぁとか思ってたんですが、ぃやっぱ長いわ!見とれん!!
そもそも物語の肝になる部分が意外な程に生臭くて、小学生ぐらいの子と観に行ったご両親は質問責めにされたのでは?と心配になってしまいました。
淡白というより虚無に近いドラマで、こんなの子供に見せたく無いなと思ったのですが、ひょっとすると子供たちにはこの位の按配がぴったりで、20年もすると全ての邦画がこのフォーマットで作られる様になっているのでは…。監督は居ない。その仕事はAIが取って代わった💻
うわわあぁ怖いいぃぃ!