もやし

ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男のもやしのレビュー・感想・評価

5.0
とても感激した映画でした。泣きそうになりました。

かつて一世を風靡した天才テニスプレイヤー、ボルグとマッケンローの関係性を描いた映画。


世の中のイメージでは、ボルグは冷静沈着、マッケンローはすぐキレる激情型、というものでしたが、彼らの幼少期まで遡って描くことで、その単純なイメージは崩れます。

ボルグは実は上手くいかないとすぐぶちギレる問題児で、名コーチに拾ってもらってその性格と徹底的に戦うことになります。そしてその代償なのかどうなのか、とても神経質で強迫観念的な性格になっていきます。
激情型のマッケンローは実はかなりインテリというのも面白かったです。


この映画から一番伝わってくるのは、天才にしかわからない苦しみがある、ということ。

お前が何故そんなに苦しいかわかるか? それはお前が自分の全てをテニスに注ぎ込んでるからだ。他の人間はそんなことはしない。だから勝てないんだ。お前は勝てる人間なんだ。
というコーチの言葉が妙に残る。


二人とも口にするのが、お前に俺のこの気持ちがわかるのか? あのセンターコートに立ったことがあるのか?


確かにその気持ちはわからないです。絶対に。


あまりにテニスに注力しているがためにプライベートはズタズタで、あまりの苦しみに当たり散らしてしまうシーンが何度もある。それでも粘り強く支えてくれる人がいる。
支えてくれる人が生きていく上でかなり大事、というのはやはり共通しているんだなと思います。


今までのシーンのフラッシュバック、支えてくれる人の想い。そういったものと一緒に描かれる決勝戦は、とても切ないものでした。

熱い話でもあるのに、全編常に切なく哀しい音楽と共に描かれるのが北欧映画らしいなと思いました。

勝負の世界というものは、本当にすごいですね。
もやし

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