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ブッシュウィック-武装都市-のBigsのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

日常が突如戦場に変わるというストーリーと、「全篇10カット長回し」の謳い文句に惹かれて鑑賞。

日常から突然混乱に陥り、戦闘が繰り広げられる映画として、過去作品では宇宙戦争、トゥモローワールド、クローバーフィールドを連想した。ただ、これらの映画(特に宇宙戦争)は俯瞰した視点があり、被害に遭う人々を多く描くため恐怖が直接的に描写されるが、本作は直接的な描写は控えめ(序盤、銃で撃たれたり、兵士が襲ってきたり、轟音が鳴り響くという描写はあるが、無残に人が死ぬ描写は少ない)で、その分「何が起きているか状況が掴めない」という混乱を観てる側も体感する作りになっている。途中まで擬似ワンカットで繋がれるため、その臨場感が効果的に増幅されていると思った(カットの繋ぎ目は不自然にズームになったり、カメラの動きが止まったりするので気になるけど)。

良かったのは、途中明かされるこのテロ行為の真相。それとラストの終わり方。
主人公2人ともあっさり死ぬが、それぞれにこうした暴力行為の恐ろしさが含まれていると感じた。男の方(スチュープ)は、銃を持った一般人に誤って射殺されるが、こういう混乱状態では疑心暗鬼により自衛のためとして凶行が起こりうること。女の方(ルーシー)は、ヘリで逃げられそうになったところで敵兵に射殺されるが、実際の戦場では何の予兆もなく一瞬で命を落とすという非情な現実が描かれていた。
平和な日常から一転して非情な暴力行為に飲み込まれるという点では、韓国の光州事件を題材にした「タクシー運転手」がある。これと本作を比べると本作の方がテロ行為に応戦していて、一見自衛のために銃を持つことも必要に思えるが、スチュープの最期を考えるとやはり肯定できないと思えた。
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