このレビューはネタバレを含みます
「サイコパスを巡るスリリングな駆け引き」
韓国映画お得意のサイコパスの話ではあるのだが、今回はそれが脱北してきた北朝鮮高官の息子グァンイル。権力を盾にやりたい放題で憎らしいことこの上なし。そのグァンイルを保護して父親の秘密口座情報を聞き出そうとするCIA、そんなヤバいやつを脱北させたと世間に知られたくない国家情報院（国情院）、国情院と政治的決着を目論む上司の邪魔にも負けずにグァンイルを引っ張ろうとする警察、そして北朝鮮でグァンイルを捕らえたものの左遷され、そこでグァンイルに復讐されて殺されかけた元情報員が入り乱れてグァンイルを奪い合う。次から次へとグァンイルを手にする勢力が変わり緊張感が途切れず、終始見ごたえがあった。ショートストーリ仕立ての展開も効果的。しかしながら相変わらずのやり過ぎな容赦ないホラー以上の残虐描写はかなりのマイナス点。それでも同監督の『悪魔を見た』ばりの衝撃的展開を期待していたが、肩透かしと感じてしまった自分がいた。もっともっと苦しんで、泣きながら命乞いして欲しかった（それほどまでにグァンイル演じたイ・ジョンソクの演技はお見事）。そう思う時点で自分の精神も壊れているのだろう。。。
