バナバナ

美しい夏キリシマのバナバナのレビュー・感想・評価

美しい夏キリシマ(2002年製作の映画)
3.5
康夫は学徒動員で働いていた工場で空襲に遭い、被弾して瀕死の重傷の親友に何も出来ず、その場を逃げ出してしまった事がトラウマになっているらしい。
康夫自身の療養の為、地元の田舎に帰ってくれば、怠け者扱いで小作人からも追い回される日々。

しかし、康夫が住んでいる田舎町は、空襲も無いし、日向灘から米兵が上陸するという噂だが、未だノンビリしている。
きっと、東京や大阪や福岡や名古屋の様な大都市、また軍港や軍事工場の傍でなければ、この映画の様な日常だったのだろう(ただ、牧瀬里穂だけが、赤茶色の髪で、きれいにパーマネントを掛けていて、服も派手な花柄だったので、戦争末期にこんな人居る?と、余りにリアリティーが無かった。これじゃあ、夜の女性っぽくないか?)。

康夫も学徒動員で助かったし、康夫のいとこの世津子も本当は長崎に居たのに、青春の挫折でたまたま田舎に帰ってきていたので難を逃れた。
康夫は十代の少年らしく、友達を見捨てた事を深く悔やんでおり、
自分が生き残ってしまった事が苦しくて仕方ないかもしれないが、
そのうちいつか彼も結婚して、子供を持つ事だろう。
あの戦争の時代を過ぎても、家族が後の世代に繋がっていくという事は、奇跡に近い事のように思えた。
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