中産階級ぶたくんを舐めるな

ジョン・ウィック:パラベラムの中産階級ぶたくんを舐めるなのレビュー・感想・評価

4.6
【アクション映画の美意識は芸術】

ストーリーがアクションで進行する良く出来た素晴らしい映画です。そんな映画に敬意を表して、簡潔にまとめて書きます。

シリーズを重ねるに連れ、シアンやマゼンタの背景といった作品イメージを定着させ、アクション映画界のアイコン的存在になったジョンウィックとその製作陣。見どころも今作が1番多く屋内外様々な地形やインテリアを活かした多彩なアクションにはウットリ。横スクロールアクションや上下の反射透明な防弾ガラスを利用した画面構成とそれに導き出されたアクション、殺し合うことで深まる愛情が重なり映像で表現していること以上のことが伝わってくる映画でした。
反面、このシリーズに完全に乗り切れていない自分にも気付かされました。
まずジョンウィックのアクションです。え、そこ⁉︎となりますが、投げ技メインの柔術とゼロレンジ射撃だとあまり見映えがよくない。カンフーのような素早いアクションをする敵との相性も微妙で(5年のブランクがあるという設定に忠実でリアルではあるものの)
たしかに即席でSAAをカスタムし一発だけ込めて射殺するシーンでは思わず射精してしまいましたが(替えのパンツをもっているので大丈夫です……いえ、比喩です)のっさのっさ走ったり、指切りげんまんした位でワーワー大声だすようじゃあまり強そうに見えないんですよね。それなのに「ファンです」とか「かの有名なジョンウィック様とお手合わせできるなんて光栄です」みたいに業界ではヨイショされてるから、パッとしなですし、
殺し屋の福利厚生があまり面白くない。殺し屋ホテル、殺し屋タクシー、殺し屋保健室、殺し屋ロッカーなどアイデアは楽しいものの、休戦や協定に持ち込む為のチート設定として使われることが多く興醒めしたんですよね。
例えば『悪女』のような刀×バイクアクションが繰り広げられたかと思えばジョンウィックが劣勢になり、すかさずホテルの階段に手を置く。すると「ホテル内での仕事は御法度」というルールが適応され、一時休戦に。。といった感じで毎回良いところで殺し合いが中断されストレスを感じました。
また前作ラスト、どこへ行っても通行人に紛れた殺し屋が殺しにくるという日常生活での妄想にはもってこいのシチュエーション(バカの文章)が前半少し描かれただけであまりそこは描かれないまま、殺し屋業界の利権をめぐる世渡りの話が展開されます。まぁどころの社会でも世渡りとか階級は大事かもしんないけどさー。映画の中の殺し屋ぐらい、「気合い」と「落とし前」だけで解決してよーー。と思ったのでした。