中産階級ぶたくんを舐めるな

ペット・セメタリーの中産階級ぶたくんを舐めるなのレビュー・感想・評価

ペット・セメタリー(2019年製作の映画)
4.4
【暗黒版リメンバーミー 演技力と雰囲気で怖くない物語を彩る涙ぐましい演出が光る】

災難や不幸に見舞われた際人は外的要因に逃避しがちです。同僚を責めたり、家に帰ってもペット責めたり……(フェードアウト)

という損しか生まない冗談はさておき、傑作でした。
『死霊のはらわた』しかり去年の『チャイルドプレイ』しかり、"そこそこ名の知れたホラー映画リメイクはハズれない"という期待を裏切らない出来でした。「前回はこうだったから今回はこう」という外し展開もあざといですが、結末を踏まえると介護する側の報われない苦労問題や家族のあり方を狭い価値観に組み込まないなど、テーマが大胆な改変に活かされていて上手いなぁと感心しました。バッドエンドも捉え方次第というのは『ヘレディタリー』とも共通するポイントで、不吉な予感だけが段々とエスカレートしていき厭な展開になっていくんですが、プロットだけに着目すると「死者を蘇らせる泉」「生き返った者は血に飢える」とDCコミックでお馴染みラザラスピットの呪いとiZombieと全く同じなんですよね。あっちは凄くポップに描いているから笑える訳で、この映画もシリアスぶってるだけで普通に笑える話です。
大仰なオドカシ演出で鑑賞中はハラハラドキドキと怖い思いをさせられますが、観終わった後は「なんだか心温まる話で良かったな」と思えること間違いなしです、『ヘレディタリー』を観終わって良かったなと思う僕と同じ神経の人なら。