茶一郎

ターミネーター ニュー・フェイトの茶一郎のレビュー・感想・評価

3.6
 オンボロのPCと見間違うほどに再起動を繰り返す「ターミネーター」シリーズ、三度目の再起動にして、ついに『ターミネーター2』の正当な続編が本作『ターミネーター:ニュー・フェイト』。 
 『ターミネーター3』をそんなに悪い作品と思っていない私のような人間は、完全に置いてきぼりになってしまいました。

 動画でのレビューで詳しくお話しました。 https://www.youtube.com/watch?v=Urp8cFLkt5k

 とはいえ、今回の再起動の腰の入り方が今までとは比べ物にならないのは、言わずもがなサラ・コナーことリンダ・ハミルトンの復活です。 予告の映像で颯爽と「I'll be right back.」をキメてから観客のハートを鷲掴みにしたリンダ・ハミルトンですが、本作『ニュー・フェイト』において、同様のリブート形式の『ハロウィン』(2018)の主人公同様、一作目のトラウマから加害者(ターミネーター)殺しに中毒してしまっている設定が描かれます。
 顔の皺をそのまま残し、ターミネーター抹殺中毒になっている姿に完全にヤラれながら、実は本作の主人公は別の新キャラクター。車の工場で働いているメキシコ人女性ダニエラ、そしてダニエラを助けるためカイル・リースさながらに未来から来たグレース、この二人の関係性が物語盛り上がりの山場となり、シリーズの顔=アーノルド・シュワルツェネガーがこの二人に「運命」を託す役割を果たしました。

 ジェームズ・キャメロンが作品に一貫して落とし込んだ「聖母」として強い女性像は、『アリータ』を越え本作で「普通に」強い女性として昇華されます。 
 「誰が新時代のジョン・コナー」なのかという問いに、(物語的に面白いかはさておいて)非常に開けた回答を見せた本作『ターミネーター:ニュー・フェイト』。それでもお客さんが入らない、物語と同じように「ターミネーター」シリーズ 自体の運命を拓け。
茶一郎

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