sanbon

ターミネーター ニュー・フェイトのsanbonのレビュー・感想・評価

3.6
最終回を無理矢理引き延ばし続けている漫画みたいな映画。

「ターミネーター」は、何故ここまで綺麗なまま終わろうとしないのだろうか。

ハッキリ言って「ジェームズ・キャメロン」が製作から抜けた「3」以降は、どれも二次創作物のようなファンが妄想しました的な作品ばかりで、つまらなくはないもののシリーズの整合性はガン無視なうえ作品毎に全くニュアンスが違う世界観を見せたりと、通算5作も出ておいてちゃんと納得して受け入れられる作品の方が少ないという惨状となっているこのシリーズ。

もうこれは、ジェームズ・キャメロン本人がしっかり立て直さんとダメだなと、誰もが脳裏に思い浮かべていたところで、まさかの6作目にして真打ちである今作の登場だ。

しかも、ジェームズの製作復帰作にして「シュワちゃん」と「リンダ・ハミルトン」までもが同じ役柄で再登場する、正真正銘の正統続編である。

これはもう、絶対に期待を裏切りようがない完璧な布陣であるから、どのようにして「2」から続く物語に新たな決着をつけるのかと、ワクワクしながら鑑賞に臨んだ。

…………。

…………。

…………はい?

なんじゃこりゃ、果たしてこれを作る目的と意味は一体どこにあったのか。

生みの親が携わった作品が、よもや3よりも「4」よりも「ジェニシス」よりも一番二次創作っぽいってどういうこっちゃ。

まず、あれだけ必死に守られ、必死に生き抜いてきた世界の救世主「ジョン・コナー」のあっけない死。

この展開を見せたことにより、これまでの全てのシリーズは冒頭数分で全否定されたも同然となってしまった。

しかも、世界を滅ぼす脅威は「スカイネット」ですらなく、新たに人類に反旗を翻した「リージョン」というAIで、その暴走を食い止める未来の救世主として「ダニー」という女性がこれまた新たに登場する。

要するに今作は、リージョンが未来から送り込んできたターミネーターから、救世主になる前のダニーを守るという、見事なまでの二番煎じかつ超絶"蛇足"展開を見せる事となるのだ。

てか、スカイネットすら変えるならターミネーターもそれに代わる別のものを用意せいや。

この、まるで本家に憧れた第三者が、プロットをまんまトレースしたかのようなものを、よもやご本人が公式に、しかも本流として世に出してしまった事に、観賞後は物凄い虚無感を禁じ得なかった。

そして、今作で決定的な欠陥となっているのが、今回紡がれたストーリーには"必然性"を一切感じる事が出来ない点だ。

それは、ジョンが死ぬ理由も、リージョンがスカイネットに成り代わる理由も「サラ」や「T-800」がこの物語に関与する理由にすらもちゃんとした"意味"が与えられていない程で、もっと言うと過去作で語られた物語との関連性などもほとんど無いうえに、シリーズを繋ぐ重大な事実が用意されている訳でもない。

あくまで、世界観のみを共有した完全なる新機軸のストーリーとなっており、そこに過去作の"OB"がサプライズ出演したような作品となっているのである。

例えるなら「NARUTO」の続編という位置付けの「BORUTO」っぽいのだ。

もう既に綺麗に畳み終えた筈の作品を、付け足した要素で延命させたような展開をみせた今作は、正に人気漫画を終わらせまいと無理矢理引き延ばして「あそこで終わっておけば神漫画だった」と卑下される失敗漫画のようなのである。

という事で、これは間違いなく「ジャンプ」の担当編集が裏で糸を引いている為「集英社」が諸悪の根源と言えるだろう。

って、違うか!
sanbon

sanbon