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メソッドのsoffieのレビュー・感想・評価

メソッド(2017年製作の映画)
4.0
・2017年韓国映画

・第23回春史大賞映画祭新人男優賞:オ・スンフン
・ワイルドフラワー映画祭新人男優賞:オ・スンフン

・名優アル・パチーノの名言で始まる作品

「嘘をつく時も俺は真実を言う」




バイクの事故の自粛でアイドルスター路線から外れてしまった若手芸能人が、演技力で有名な実力派舞台俳優と2人芝居で芸能界復帰を事務所側が企画。
しかし
当の本人はテレビやマスコミにもてはやされた自分が、「オッサン俳優と牢獄に監禁されて愛が芽生える」小さな舞台にも、設定にも、何もかもが気に入らなくて、顔合わせの本読み初日、散々遅刻した上挨拶もしない…。

しかしヨンウ(オ・スンフン)は、自ら演技する役を日常に取り入れ役を作り上げるメソッド俳優と自称するジェハ(パク・ソンウン)の演技に感銘を受け、密かにジェハのメソッドに従い自分も役になりきる行動を取る様になる…



Soffieは二次元BL漫画カテを中心に、人生の心の拠り所をBLとして生きてきたので、最近何かとBLに国力を上げている韓国を無視できない。

まず韓国が数年前からBLにどれだけ力を入れているか説明しておく。
元々、BLは日本で「少年愛」とか「禁断のソドミー」とか「同性愛モノ」として、昭和をひっそりと、しかし確実に沼った少女達を作って「創作BL」や既に作品として世に知られている物の主人公達をカップリングして、勝手に恋人設定して物語を作る「二次創作」の素人漫画の薄い本を自分達で作るオタク少女達が、アニメの二次創作をするようになり、市役所等の小部屋を借りて交換会等をひっそりとしていた集団がやがて、インターネットの普及で海外にもBL好きのオタクに火をつけて、公民館の一室が体育館になり、そして一気にイベントホールを借り切ってコミケとなり、今やBLモノの売り上げは1兆円を軽く超えてしまった。

中にはカテゴリーとして、激しいモノや暴力的なシーンを描くモノもあり、それが小中高生の手に取られる事を恐れて批判に晒されたり、近年中国では同性同士の性的表現の小説、漫画、ドラマ、映画などが法律で禁止されたりもした。

逆に韓国はBL漫画の人気のある設定を、AIに記憶させてAIに物語を作らせ、BL漫画に特化したアプリを作り、国の政策として同性愛を法律で禁止していないアジア欧米諸国に配信して外貨を稼いでいる。

しかしそのAIが作り出す売れ筋漫画が足元にも及ばない超人気作品があり、それは1人の漫画家が創り出すストーリーで、その売り上げは世界5000千万ダウンロードの記録を出してまだ売れ続けている。
物語も第一章で終わる事が許されず、現在第四章に続いて現在進行形。

韓国はBL漫画をエンターティメントにも取り入れ漫画に出てくる様な、背が高くて足が長く美しい顔の男子達を集めた、ダンスボーカルユニットの売り出しにも着手して、ダンスの振り付けや歌のPVをBL設定にして着実にファンを集めている。

BLとは男同士が絡んでたら良いという訳ではない、そこには森鴎外の娘である森茉莉の「枯葉の寝床」に触発された、大御所漫画家である萩尾望都や竹宮惠子、木原敏江や名香智子、そして池田理代子の「ベルばら」の少女漫画世代や、「キャプ翼」や「聖戦士聖矢」の二次創作に沼った少女達、さらに「激愛」等の作品を読んで拒食症になってまで物語の中の少年達の愛を賛美した世代が、自分の子供達に伝承した平成腐女子達が納得満足するだけの「純粋な愛」が描かれている物語だけが受け入れられる世界だと私は思っている。

なので近年大ヒットしたドラマ
「チェリまほ」や「美しい彼」はBL漫画家とBL小説家が作品として世に発表した作品が、業界に潜伏している昭和腐女子の目に留まり、真剣にキャラクターイメージに合った俳優を厳選してキャスティングした事が大成功へと導いたのだと推察している。

本作「メソッド」は演技力に定評のある有名人気俳優パク・ソンウンを主演に、若手芸能人役を新人のオ・スンフンが演じている。

パク・ソンウンのお顔は知っていたが若い方の人知らないな〜、つまらなくなったら途中でやめよう…と軽い気持で見始めて、そして途中からオ・スンフンの魔性化が凄くてビックリした。

途中から彼がメソッドに従い役になりきり唯一無二の美少年オーラを放ってパク・ソンウンを虜にして落としていく(あるいは一緒に落ちていく)後半が凄くて、海辺の車の中から引きずり出されて引き離されるシーンは台詞も演技も無いのに泣きそうになった。

そして最後はパク・ソンウンを置いて迎えの車の中に乗った彼の表情と全身から醸し出された空気で本当のところどんな気持だったのか、台詞も無いのに泣いた

気軽に見て衝撃を受けた作品

同性愛に経験の無い2人が出会って
メソッドに沿って日常的に役を演じる事で
年の差や性別関係なく惹かれ合い
一瞬のうちに恋に落ちて離れ難くなり
全て捨ててもろともに落ちる覚悟がある若者と、自分の周りの事を気にして失う覚悟が出来ないまま、唯一無二の愛を掴まなかった大人の男が描かれている。

オ・スンフンの演技力に末恐ろしいものを感じた作品。

韓国の底力を感じた作品なので4.0
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