もるがな

IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。のもるがなのレビュー・感想・評価

4.6
キングの記念碑的ホラー作品の後編。前編がジュブナイルなら後編は青春懐古ホラーといった所で、原作からかなり改変した部分もあるのだが、前作と同じく構成面でのまとまりが良く、子供と大人でテーマを地続きにした一貫性は称賛に値する。

やはりキングといえばB級ホラーへの愛着であり、それは映画化となった本作でも随所にこだわりを感じる。『シャイニング』のパロめいた部分は若干やりすぎ感があったものの、クリーチャーの造形やジャンプスケア演出、グロ描写にはしっかりとしたB級感があり、この下品さとチープさはキング作品を読んでる時と同様の感覚に陥ってしまった。

子供の頃に解決してなかった問題は大人になっても残ったままで、社会的に成功し、穏やかに見えた生活でもその爪痕は残っているというのはなかなかにリアルであり、子供の頃の問題を大人になってケリをつけるというのはこのトシで見ると色々と感じ入ってしまう。ホラーというよりは青春要素が強めではあり、所々雑な展開や描写はあるあたりは好みが分かれるものの、怪異は理論詰めて考えるものではないし、目的のあるものでもない。ただただ意味のない恐ろしさの前に命を落としそうになりながらも、そこに意味を見出して決着をつけようとする人間賛歌こそがキング作品の最大の魅力なのだ。
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