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迫り来る嵐のmuraのレビュー・感想・評価

迫り来る嵐(2017年製作の映画)
3.5
話題のニューカマーが監督する中国映画。舞台は香港返還が間近に迫った1997年。こののち20年で中国は劇的に変わる。「迫り来る嵐」とはそういったことを示唆するのか。

大きな工場のそばで女が殺された。同じ手口による犯行が続き、4度を数えていた。警察に協力し、犯人を探し出そうとする工場警備員のユイ。しかし犯人を追うなかでまわりを傷つけ、自らも傷ついていく。そういったときに出会った女。女は体を売って生きてきたが、美容院を香港で開くことを夢みていた…といった話。

とにかく暗い。殺伐とした工場の風景に、やむことのない雨。まずもって映像が暗い。人物の表情が見えないことも多い。モノクロ映像かと思うほどに。

それが「迫り来る嵐」前の中国の何とも言えない雰囲気を醸し出してるんだろうけど…

『殺人の追憶』あたりを思い起こした。ただ、やはり向こうの方に分があるなと。

自らがふりかざす正義が自らをがんじがらめにする。加えて他人を傷つける。あぁ、現在の日本社会を見るよう。いや、こういった映画が作られることを考えると、中国社会も同様か。
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