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飢えたライオンの一のレビュー・感想・評価

飢えたライオン(2017年製作の映画)
3.8
『子宮に沈める』の緒方貴臣監督作品

主人公の虚像が周囲の人々のデマによって作られ、報道やネットなどがもたらす情報の加虐性を描く

この監督は容赦がないので覚悟してても相当きつい
あまりにも救いがない あまりにも報われない
何から何まで重苦しく陰鬱
あえてハネケばりのブツ切りカットで繋がれる不愉快な演出もお見事
何気ない高校生のコミュニケーションなんかもめちゃくちゃリアルだから尚更きつい

本作の特筆すべきポイントは、大きな出来事が起きた後
現代社会に見え隠れする影の部分を極めて上手に、そして嫌味なほど皮肉たっぷりに映し出されている

SNSや無神経なマスコミの在り方などが、ただのフィクションならここまで不快にはならない
あり得るというか、こういう例が普通にあるから全く他人事に思えないし心に刺さる

『子宮に沈める』でもガツンとやられましたが、本作も別ジャンルでの強烈な作品です
これを観て高校生や大学生はなにを思うか聞いてみたい

2020 自宅鑑賞 No.375 GEO
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