飢えたライオンの作品情報・感想・評価

飢えたライオン2017年製作の映画)

The Hungry Lion

製作国:

上映時間:78分

4.0

あらすじ

映像や情報の持つ「可虐性」を描き、それらを消費する私たちの中にある邪悪な“欲望”をあぶり出す。世界中に拡散する「フェイクニュース」全盛時代を生きる私たちへ突きつける78分。

「飢えたライオン」に投稿された感想・評価

第30回東京国際映画祭スプラッシュ部門ワールドプレミアにて上映されたものを鑑賞。
「映像や情報の加虐性」を問題提起された。自分でちゃんと考える事のできる力、「想像力」が大切らしい。
情報を受け止め、こうして、発信することの怖さを感じつつ、今、鑑賞記録を書いている私は誰かを傷付けてはいないかと不安になる。
シーンの移り変わりの合間に挿入される黒みは、人間のまばたき。とQ&Aで監督がおっしゃってた。全ての事象がひとつの線を描いてるというよりは、ありとあらゆる点が掛け合わせって起きてしまった結末。嫌な気持ちになって帰ってほしい、という言葉のままの感情で帰路につきました。

ハネケ作品や坂本あゆみ監督「FORMA」を思い出すような、見てるこっち側を強制的に映画の世界に参加させてくれる作りの映画はやっぱり好きだな。

文明と一緒に人の命も軽くなってく
一面だけの世界になっちゃうのかな
ものすごくイライラさせられる。イライラさせようという意図をわかっていながら苛立つ自分に気づいていて、それが可笑しくて笑えてくる。

ラストシーンの意図を踏まえて考えても、「ファニーゲーム」のフォーマットを利用して、メディアの暴力性、他人への関心と無関心についての問題を提起している、と言うことができそう。

ただ、観客に対する悪意が剥き出しすぎて、あまり好きにはなれなかった。
作り手の視点は浅く、その視線も鈍い。
リアリティに欠ける描写の連続とテーマありきで配置された嘘っぽい登場人物達が嘘っぱちなストーリーで踊らされるレベルの低い人形劇のような作品。
SP

SPの感想・評価

-
タイトルロールは彼女のことだと思って見始めたけど、次第にその様相は変化していった。内容はエグいけど、どこか乾いて引いた目線。これは群像劇なのだと思った。感情移入しなかったけど、面白かった。映像の暴力性、メディアの執拗な浅ましさ。断片たちが連なった現実でした‬
lp

lpの感想・評価

4.0
第30回東京国際映画祭にて鑑賞。日本映画スプラッシュ部門の作品。

担任教師との淫行を噂され、次第に周囲から追い詰められる女子高生の物語。

「情報に躍らされる現代」をテーマに、徹底的に観客への「問い掛け」を行う映画だった。面白かったし好きだったけど、観終わってからずっと何かが引っ掛かっていた。その引っ掛かりの正体は、今作の主題が森達也監督の『FAKE』と被ることだと、後になって気が付く。だから「またこの問い掛けかよ」って印象が残り、少々物足りなさを感じた。

当然、劇映画の今作とドキュメンタリーの『FAKE』では、単純比較が難しい部分も多分にある。ただ、『FAKE』が「ドキュメンタリー」という手法そのものも利用した傑作であったことに加えて、今作が後発になってしまったことを踏まえると、どうしても『FAKE』の先にある「問い掛けへの答え」を何かしら導いて欲しかったという思いが残る。

さて、ここからは本作単独での感想。

まず、「人間は何らかのフィルターを通して、物事を見ていること」を明示するタイトルの出し方と、「カメラは目の前に映る事実を記録するだけであること」を明示するラストショット。この円環構造の時点でもう素晴らしい。オープニングとクロージングだけでも、主題をしっかり訴えかけていた。

この映画の最大のポイントは、結局主人公が担任教師と性交していたのか否か、その白黒をハッキリ明示せず、余白を残しているように感じられるところ。
そしてこの余白を御膳立てするのが、緒方監督の非常に理にかなった演出と主演の松林うららの演技だった。
暗転を多用して断片的に情報を与える、音楽は使わない、主人公の表情をあまり映さない、主人公の考えは直接言葉で表しない・・・どれもこれも観てる間は「変わった演出だな」ぐらいにしか思わなかったけど、観賞後に振り返ると、緒方監督の演出は全て効果的で見事にやられた!「何を言ったか」という事実をカメラが記録として残すのみで、その裏にある登場人物の感情や考えは、観客が読み取るよう設計されている。「主人公は根も葉もない噂に惑わされた犠牲者」とも読み取れるし、「隠したかった担任教師との関係を白日の下に晒され、行き場を失う存在」とも読み取れる。この辺りの解釈は、他に観た人がどんな感想を抱くのか気になるところ。
その一方で、噂に端を発した周囲からの好奇の目が主人公を追い詰める点は比較的に明確で、「情報に踊らされる現代」というテーマはしっかりと立脚する。見事。

主演の松林うららの演技(AVのようなシーンもあり、舞台挨拶で24歳と知って安堵)も、表情や声色の変化があまり無く、何か含みがあるように感じられた。巧い。

最後に余談。前半で出てきたレンタルビデオ屋が、おそらく実家近所の「日の丸」(現在は閉店して100円ショップ)で凄く驚いた!ちなみに実際のお店だと、AVコーナーにはあの順路だと遠回りです。

「これが受賞すべき」と思えるほどの突出したものを感じた訳ではないけど、今作が日本映画スプラッシュ部門の作品賞を受賞しても、全く違和感なく納得できる。事実のみを描きこむような映画なので、人によっては物足りなさを感じるかもしれないけど、個人的にはオススメです。
shotaro

shotaroの感想・評価

3.4

東京国際映画祭にて。
いい作品だった。
自分の絶望で人が、メディアが生きている

誰も信じて見れなかった。
メディアに囲まれている今だからこそ観たい映画でした、TIFFで観れてよかった。
学生当日券本当に有難いです。
sato4

sato4の感想・評価

3.7
「第30回東京国際映画祭」にて鑑賞。あらすじを読んで、辛い話である事は理解していたつもりだったが、映像の力はやはり凄い。もの凄く胸に刺さる映画だった。緒方貴臣監督の意図した構成も巧み。インターネットが世界にもたらしたのは便利さだけではないのは誰もが感じるところ。とても生きづらい世の中になったとは思うけれども、生まれた時からネットが当たり前に存在していた子ども達の一部はその生きづらさに気付く事なく、これからも大きな大きな取り返しのつかない失敗をしてしまうのだろうな。この映画の登場人物達のように。