ノッチ

らいおんウーマンのノッチのレビュー・感想・評価

らいおんウーマン(2016年製作の映画)
4.0
少女の全身は、生まれた時から体毛で覆われていた。

周囲の人々と大きく異なる外見ゆえに彼女は多くの困難を強いられてしまうが、それでも前を向いて生きてゆく。

ノルウェーの作家 Erik Fosnes Hansenによる小説の映画化。

全身にライオンのような毛が生えた女性の半生を描く。

『らいおんウーマン』ってどんな邦題だよと思ったけど、原題もそうだし、英題も『The Lion Woman』なのでそのまんまではあるんだな。

この映画はけっこう名作の部類に入ると思うんですが、あんまり注目されてないんですね。

レビュー数少ないし…。

お話はあらすじのとおり、生まれつき体中が体毛で覆われた女性の成長物語です。

ノルウェー産だからか、こちらの"ここが見たい"を何度も外してくるのが不思議。

絵画的な風景含め断片は見事だが、まとめると一貫性がない。

なのに心を動かせる。

少女に寄り添うんじゃなく、人というものの生き様を見せる映画。

周りから受ける侮辱にも負けず前を向いて自分の人生を切り開いてく少女に感動した。

原作はノルウェーの小説で、本国ではベストセラーになったみたいです。

しかも国際的に高い評価を受けている小説らしいです。

ということは注目度の高い映画化だったのかな?

この映画はなかなかに感情を揺さぶってきました。

ペース的には、最近の映画のわりにはけっこうゆっくりしたペースで物語が進んでいきます。

いわゆる女の子の成長物語なんですが、赤ん坊のシーンだけで30分近く費やす。

しかしそのペースがいかに彼女にとって波瀾万丈な人生かを、我々に感情移入しやすくなっている。

もう本当に観てるうちに彼女に同情してしまい、最後は彼女が幸せになってくれるよう祈りながら観てました。

また、彼女の父親の気持ちもなんとなく理解できた気がします。

最初こそなんか冷たい気がしたんですが、娘のことを思えばこそだったんですね。

しかもなんだかんだ優しいし。

他にも母親代わりとなる乳母のハナや、友人となるスパーキーとか、好感度高かったです。

この作品の伝えたいメッセージは一目瞭然で、わりかし単純。

見た目がどうであれ、人は成長できる。

本作のメッセージは、多様性を重んじる今の社会だからこそ忘れてはいけないことだと思います。

それを声高に主張するのでなく、じんわりと伝えてくれる本作は他にはない味わいがありました。

最後の方は若干ダイジェストっぽくなってたのが残念でしたが、すごく面白かったです。
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