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ベター・ウォッチ・アウト: クリスマスの侵略者のTEPPEIのレビュー・感想・評価

4.4
前情報なしで見るべし。トレーラーにある元カレVSチェリーボーイ、ホラー版「ホーム・アローン」!?くらいの情報さえ頭に入れて本作を鑑賞すれば、吹き出すくらい、思わずズコーッて体が後ろに倒れそうなくらいの変化球が待ち構えている。

本作「ベター・ウォッチ・アウト」は2017年に製作された作品。その年のブリュッセル映画祭で最優秀作品賞を受賞した本作がようやく日本でもお披露目。

まずタイトルが超秀逸。「サンタが街にやってくる」の歌詞にも含まれる、(目を離すな、気をつけろ)というニュアンスの、このタイトル。色んなミーニングがまさかこんなにも交差するなんて、ちょっとクスクスしちゃうくらい、むしろ可愛らしさすら感じる。
それで結局、この映画の衝撃って何なのかっていうと、意外性とか、超展開とかはさて置き、色んな映画へのリスペクトを感じるちょっと異質なクリスマス映画として完成されてるっていうのがポイント。

13歳でちょっぴり大人ぶりたい男子のルーク。そんな彼は5つ歳上のベビーシッターのアシュリーに興味津々。エロガキっぷりを押し殺しつつ、クリスマスの夜、両親の留守中、ついに彼女と親しくなるチャンスが訪れるが…というのが大まかなストーリー。うんうん、真っ当なスリラーだったり、コメディだったり、ロマンスだったり、特殊性を楽しむ作品だった。

ジャンプスケアの多用を敢えて逆手に取って、ベタと新鮮の間を行き交う感じはちょうど去年観た「サマー・オブ・84」にも通じている。思春期真っ盛りな少年たちの暴走やら葛藤やら、今や普通の青春映画には何か違う起爆剤を入れて遊ぶくらいの方が映画ファンには嬉しいかもしれない。

あくまで個人的には、観る人を選ぶ作品であると思う。それはこの作品の持つ衝撃度の反応の違いとかではなく、単純に''これを楽しみながら観る''ことに拒否反応示す人がいても、驚きはしないのである。頭空っぽにして楽しむつもりが、こう来ますか…という、やっぱり「サマー・オブ・84」をちょっと思い出しちゃう笑。

総評として「ベター・ウォッチ・アウト」は才能豊かなスタッフとキャストが一枚も二枚も上手なサプライズを用意してくれる。こんなクリスマス映画あってもいいんじゃないかな。「レア・エクスポーツ」あるじゃないですか。アレ好きな人はきっと楽しめまっせ。
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