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トップガンのTEPPEIのレビュー・感想・評価

トップガン(1986年製作の映画)
3.0
本日より公開の「トップガン」×「トップガン マーヴェリック」の二本立てにて鑑賞。「マーヴェリック」に関しては通算6回目の劇場鑑賞。それでも飽きさせない、まさに劇場体験に相応しい一作であるのとは対照的に、珍しく一作目がそこまで面白くないトム・クルーズを一気にスターにした「トップガン」。80年代を代表する名作なのは、海軍協力のもと撮影された戦闘機や、当時配給にクビにされても逆転でオスカーを獲得したセス・ホールの音響が功を奏し、大迫力の空中戦と大味すぎるストーリー、音楽を備えたごりごりのブラッカイマー映画。
セス・ホールの音響の工夫は「ようこそ映画音響の世界へ」でも紹介されており、ぜひ本作と併せて観てほしい。
当時24歳のトム・クルーズを観たあとに、59歳のトム・クルーズを観ても違和感ないのでそういう楽しみ方もあれば、観ていてこっちが恥ずかしくなる青いトムとケリー・マクギリスの気色悪いキスシーンと、終始ヘラヘラしているマーヴェリックの緊張感のなさと言ったらむしろ愛らしい。
ヴァル・キルマーの出世作でもあるが、「マーヴェリック」で多くを語らせない、ピートとアイスマンの友情と苦悩のドラマは良く出来ているのに、肝心な一作目にはこの2人がいまいちライバルなのか、ライバルじゃないのか全くドラマがないまま、男の友情みたいな感じで締められるので唐突感がすごい。一作目ってこんな、こざっぱりした作品だったかなぁと思いながらも、「トップガン」をこうして大画面で楽しめたことは嬉しい。当時はブラッカイマーのこのゴリゴリのエンタメが大ウケしていたのだろうけど、今観ても色褪せない…とはならない。
役者たちが豪華なのに対して、これはアクションなのかドラマなのか、安いメロドラマなのか無駄なシーンが多いわりにキャラクターたちの成長がないまま、これまたあっさりとした最終決戦を経て、唐突に映画は終わる。
今は亡きトニー・スコットの代表作であり、「マーヴェリック」のヒットで改めて多くの人に見返されている「トップガン」は観客を80年代のエンタメ映画量産時代を思い出させてくれる。
とりあえず、トム・クルーズは不老不死じゃないのかな。
総評として、「トップガン」はベストではないが、「マーヴェリック」のおかげで、エモーショナルな場面に富んでいる。
ぜひ多くの人に二本立てを劇場で楽しんでほしい。
明日は「ローグ・ワン」のIMAXを鑑賞。なんだか下手なビッグ・バジェットのハリウッドの新作より、旧作を片っ端からIMAXにしたほうが売れんじゃねえの?という映画業界の作戦に見事ハマっている。
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