TEPPEI

ルパン三世 カリオストロの城のTEPPEIのレビュー・感想・評価

4.8
何度観ても面白い映画の代表格ではないか。宮崎駿の初長編映画監督作、「ルパン三世 カリオストロの城」のリバイバル上映。テレビの前で大笑いしていた頃を思い出しながら、初めて大きなスクリーンで観た「カリオストロの城」はまるで初めて観るようなワクワク感と、素晴らしいアニメーション傑作であるという事実だけが残る。

既に高畑勲のもとでハイジ製作という地獄の日々を味わった宮崎駿が、大塚康生の次に舵を取った本作。SFアニメーションが圧倒的に人気だった時代に、前作「ルパンVS複製人間」とは打って変わった活劇は公開当時ウケなかった。評価自体は高かったのに、SNSがない時代なのに原作者モンキー・パンチの発言が「切り取られて」、ネガティブな講評が取り上げられて、興行的に失敗。「風の谷のナウシカ」を手掛けるまでモラトリアム時代だった宮崎駿の出発点である本作は、ハードボイルドでアダルトな1stシリーズとは翻って、まるでファージョンやデュマの作品を彷彿とさせる冒険活劇である一方、「ルパン三世」の面白さと人類の叡知とネガティブなメッセージにも含まれた作品である。コアなルパン三世ファンの多くは、「ルパンVS複製人間」をベストとしているし、実際劇場第1作目は素晴らしい出来である。全く毛色の異なる「カリオストロの城」は、山田康雄のルパン三世が圧倒的に格好いい。いまや古参の声優たちは亡くなられている方も多く、ついにフルメンバー新声優になっているけど現在でも支持されている作品。

単純に面白いし、ずっと宮崎駿の世の中に対する憤まんと、子どもたちのために描いている殺意にもなり得る情熱が大人になって観ると異常なほど感じる。モラトリアム時代になる前の宮崎駿の若々しさと、圧倒的な面白さに観客は心を盗まれてしまう。
クラリスを演じた島本須美は、「ボーイ・ミーツ・ワールド」の吹き替えや、ナウシカなど思い入れが沢山あるけど、やはり「スター・ウォーズ」が心に残っている。いまはもう滅多に映画を吹き替えで観ることはなくなってしまったし、観るとしても「コマンドー」ぐらい。だけどルパンとクラリスのロマンスだけで、もう本当に楽しい。

総評として、「ルパン三世 カリオストロの城」はなんでこんなに面白いの、と思わせるぐらい面白いし飽きない。リバイバル上映、またお願いします。
TEPPEI

TEPPEI