Lume

ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男のLumeのレビュー・感想・評価

4.5
デザイナー/ドリス・ヴァン・ノッテンの、仕事と私生活のドキュメンタリー。彼自身のことはあまり知らなかったけど、すごくお茶目でカッコいい方で。まさに「ファブリックと花を愛する男」。

最初のコレクションのステージ。
緑に仕立てたキャットウォークをモデルが歩く。歩くたびに着ている服が揺れて一つの世界観が出来上がる。
「メットガラ」に続くうっとり✨な映画。それだけで観て良かったと思う。


既成ではなく生地から自分で作り、それを何度も組み合わせて一つのファッションを作り上げる。柄×柄の組み合わせでも全体でみるとうるさくない。先にデザイン画とか書かないんだーと素人目にすごって思った。生地さえも「メイドイン ドリス・ヴァン・ノッテン」なんだろうなぁ。
「ファッション」なんて言葉を使ったらドリスに怒られちゃいそう。それに見合う新しい言葉を産み出さなきゃな、とも言ってた。

それくらい、毎日着るお洋服だからこそ自分に合うものに、こだわりを持ってたい。
自分はどうか?と自問する。

ドリス自身は時代をタイムレスに服に反映する。コレクションのシーンも時間的に見たら90年代なのかしら?と思いきや、つい最近のコレクションだったり。時代に流されない彼流のデザインなんだろうな。だから余計に「自分とともに成長させていく」という彼のお洋服に対する思いがずしりときた。


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緑あふれる庭園が広がる自宅。四季折々の花が彼の家のテーブルを飾り、部屋に差し色が入り、そして仕事場にも花が溢れる。
ペットのワンちゃんもチャーミーなお顔だった🐶


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「持ち主といっしょに成長していく服」

冒頭、この一言に衝撃というかハッとさせられて、中盤くらいまで集中できず。

年末、もう自分には合わなくなってきたかなって着なくなって人にあげちゃったコート。もっとちゃんと大事に着れば良かったと大後悔。「この人みたいなおばあちゃんになりたい!」って思って買ったベッツィ・ジョンソンのコートだったのに。その気持ちを忘れてた。モノに息を吹きかけるとは、そういうことか、と。
手放してしまったものは二度と戻らない。


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このテの映画はいつも私に「もっと丁寧に暮らそう」と思わせてくれる。現実はバッサバサに雑な生活だけど。
きれいな映像をただ見ていたくて観た映画。
最近、やさぐれてた私の心をきれいにしてくれた映画だった。
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