ネタバレを避けたレビューは不可能かもしれない。
ゾンビ映画の撮影中に本物のゾンビが現れる。しかし監督はカメラを止めず、撮影を続行するよう命令する。
というのは実は表向きであり、そうしたメタ視点の映画を撮影する役者や裏方の人々の様子が物語の主人公となる。皆で力を合わせて一つのモノを作り上げる過程を描いた、お仕事映画だった。
前半部分では作品内で作られた映画そのものが流される。しかし内容はチープなB級映画感が強く、違和感の数々も演出の一つとして受け止めることができる。
その後、裏方の動きを描いたドラマ部分のパートで、全ての謎が解き明かされる。
例えば最初の間延びした会話など、前半では緊張感を生む効果を持つ言動やカメラワークが、メタな視点で見ると、実は現場のトラブルに翻弄されて起こった現象であることが分かる。全く同じシーンでも見方一つで恐怖が笑いに変わるという演出は見事だった。
予告で流れる内容だけで食わず嫌いな方も多い気がするが、万人に受け入れられるハッピーエンドが待っている、珍しい「ゾンビ映画」であった。
