日本を代表するB級映画
・感想
この映画は10月に劇場で1000円払って観賞。12月にDVD版で観賞してみました。
色々と言いたいことはありますが、原案があの舞台『GHOST IN THE BOX』だったとしても新人監督と無名俳優が作ったこの映画は下ネタを使わずに面白く仕上げているので本当に面白く、ドラマ性もきちんと取れているのでエンタメ映画としては良作に値します。
まず、この映画自体がネタバレ厳禁というのは分かっているのですが、むしろ予備知識なしで観てもちょっとだけ映画の内容を知っていても大笑いはできます。
少なくとも今まで見た海外の良質なミステリー映画のようにビックリさせられる要素はないんだけど、前半のあの37分のゾンビものを後半で色々と種明かししてくれるのでいい意味で楽しいのだが、ネタバレ厳禁をしても大きなサプライズはないので敢えてホラー風のジャケットにネタバレ厳禁無しで宣伝しても大ヒットできたんじゃないかと思う。
役者陣の演技はともかく、事実上主人公の日暮隆之の知り合いの俳優が酒を飲んだせいで大変なことになったり、面倒臭い性格の俳優が撮影中に軟水を飲んだせいで不味いことになるところは劇場では本当に笑えました。あと前半でメイクさんがサイコになっていく下りはある意味サイコスリラーみたいでスリリングなのが一捻りあって良かったです。
それで、秋山ゆずき演じる松本逢花が軽い口調で言う「よろしくで~す。」やしゅはまはるみ演じる日暮晴美がやる護身術「ポンッ!」は何度観てもハマってしまいます。2018年の新語・流行語大賞は『カメ止め』でノミネートするのではなく、『よろしくで~す』でノミネートされても良かったはず。そうでないと『そだねー』のように大賞をとれないから。
でも、後半に監督の娘が監督の台本を見てしまう下りで終盤のラストシーンが読めちゃうのが少し引っ掛かった。劇場で観たときもDVDで観たときも皆が言うようにラストでほっこり感動できるのは確かだけど、事実上主人公である濱津隆之演じる日暮隆之と真魚演じる日暮真央の家族の関係性を描くのはいいとしてもうちょっとなにかラストシーンで欲しかったなぁというのはある。DVDのコメンタリーで監督がラストシーンの最後に当初字幕をつけようかどうか迷っていたと話していたけど、説明過多でもいいから字幕をつけた方が単なるコメディ映画にはならずにメッセージ性があって良かったようにも思えた。
ただあくまでも一意見として書きますが、上田慎一郎監督は無名俳優や演技未経験の人物を集めて素人感ありきで笑える面白い映画を次回作に作るのではなく、出来れば大衆で知れ渡っていないであろう脇役で有名な俳優を主演にしたり、そこそこ売れているけど茶の間に知れ渡っていないお笑い芸人を出演させたりと実験的な側面をやってもいいんじゃないかなぁと思う。『銀魂』の福田雄一監督や『さんかく』『ヒメアノ~ル』の吉田恵輔のようにコメディ映画の巨匠になるのはまだ遠い話なのだが、上田慎一郎の努力やアイデア次第では万人受けできる次回作を作れるのは確かかも。