橘

日日是好日の橘のレビュー・感想・評価

日日是好日(2018年製作の映画)
3.8
『世の中には、すぐわかるものと、すぐわからないものの二つがある』。
何度も繰り返して習慣づけて、何年も経ってようやくわかるものだな…茶道も心も。。すぐわからないから続けられるし日々新しくなっていく。
すぐわかる、わかりやすいものが持て囃されてる(ように思える)昨今にいまいち馴染めないけれど、どちらもあって良いのだと思いました。
これをやったらひとっ飛びで違う自分に!というのは有り得ないけど、すぐわからないものだらけでも困るし。。

落ち着く映画でした。
内容は茶道奮闘記と典子さんの年月で、奮闘記は可愛いし年月はシビアな所がほとんどでしたが、全体的に空気が静か。
典子役の黒木華さんと武田先生役の樹木希林さんの佇まいが落ち着いてるので観ていてほっとします。ふたりとも着物姿がそれぞれ素敵。凛としてるけど違う方向に凛としている。。
原作はエッセイなのでもっと散文的になるかと思っていたらそうでもなく、時間の流れが自然でした。

多部未華子さんは可愛いけどちょっとこの作品ではお化粧が濃かった気がします。黒木さんのキャラとの差別化かなぁ。
森下父は娘さんが元気なのでお昼間からお酒呑み始めるの良かったです。鶴見辰吾さん良い。

晩年の樹木希林さんのドキュメンタリーを拝見したことがあり、この映画の撮影時も映されていたのですが、それを薄っすら思い出しながらお芝居に気圧されます。
厳しさもありユーモアもあり…説得力がとてもありました。いきなり訪ねていっても「お上がんなさい」って明るく優しく迎えてくれるの嬉しい。悲しいとき静かにそばに居てくれるのも嬉しい。良いなぁ。。


和菓子も美味しそう。練切もお饅頭も干菓子も綺麗でした。
橘