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とんかつDJアゲ太郎のJINのレビュー・感想・評価

とんかつDJアゲ太郎(2020年製作の映画)
4.4
原作漫画は全巻持ってるほど大好きだったので、公開を待ちわびてた。
しかし、不運にもコロナ禍で6月から10月に公開延期、その間伊勢谷友介が逮捕され、公開直前には伊藤健太郎が逮捕。
気分はサゲサゲ、冷めたとんかつの如くタイミングが悪くて気の毒なことになった。

この作品は二兎を追う者が二兎とも得ようとする話である。
ある意味二足のわらじが珍しくない今に合っていると思う。
とんかつは豚を揚げて、DJはフロアをアゲてお客さんを喜ばせる。
原作のどこまでを追って、これを同時にバランスよくどう描くかが難問。
その点けっこう上手く纏めてた。

原作読者として観てみて、キャスティングに関してはみんなちゃんとハマッてて特に違和感を感じる人もいなかったし、中でも親父役のブラザー・トムは最高だった。
心配だったのは音楽面。
権利の関係もいろいろあるやろうから、既製の曲をどこまでどう使えるのか?気になってた。
そして何よりDJの説得力は勿論、音楽による高揚感がどこまで感じられるか?
劇中のDJで使用された既製曲はジャンルも年代も様々やけど有名な曲ばかりで耳馴染みもありつつ、アゲる説得力もありそうな線を選んでたようには感じたかな。
この辺は流石、過去作でも劇中で使用する音楽のセンスがピカイチの二宮健監督。

内容に関しては原作の序盤をアレンジして描いたのにすぎないので、本当はこれからどんどん面白くなるのにっていう。
だから続編を期待したかったが、ただでさえコロナ禍でクラブ界隈や飲食店の状況も変わった上にこんな不祥事が続けばまあ無理だろう。
でもとりあえず満足。
願わくば、いつかアゲ太郎のその後の成長を観てみたいんやけどなあ。
この映画を観て、またコロナ禍前の世界が眩しく感じられてしまった。

ところで、あのDJ KOOの扱いはどうだろう?
本人は喜んでたけど(笑)
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