けーはち

恋は雨上がりのようにのけーはちのネタバレレビュー・内容・結末

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

「JKがバイト先のファミレスでさえないオッサン店長に恋を」という中年男の都合の良い妄想めいた恋愛要素が強調されMeTooで沸くフェミニスト激怒の炎上案件かと思いきや、実は「陸上を怪我で諦め、気が滅入ったJKが親切にほだされた」程度でしかなく(それで猪突猛進に暴走するのがいかにも漫画原作)、後半はロマンスというより優しいオッサンに説諭されJKが陸上の世界に戻っていくのが本筋に。

それだけではオッサン側から見た場合JKに一方的に迷惑をかけられた形になってしまうので、奇しくも元文学青年で小説家志望だったオッサンも旧友(流行作家)とのわだかまりを解消し、執筆活動にかつての情熱を取り戻す、という希望のあるハッピーエンドで締めている。おそらく「恋は雨上がりのように」とは、恋はスーッと消えて、雨上がりのように爽やかで晴れやかな気持ちになる、という含意なんだろうね。

ひねりや意地の悪さのない素直なストーリーなので、後は役者や演出に好感をもてるかどうかが主眼に。生まれ故郷の村を焼きそうなくらい眼力の強い小松菜奈、あまりJKには見えないが意志の強い(思い込みが激しい)瞳と表情は本作の狙いにぴったりハマっていてキュートだし、そんなJKにグイグイ迫られても決してチャイルドマレスターにはならない大泉洋は綺麗すぎも汚すぎもない普通というと出来すぎのバツイチ子持ち45歳オッサン具合を醸し出していて良い。演出や音楽ももう少し静謐でも良いかなと思ったが邦画的な過剰さはなくて、疾走感(文字通り、陸上部のエースだった主人公の)を活かしたシンプルさが心地良い。