鷺宮テラス

工作 黒金星と呼ばれた男の鷺宮テラスのレビュー・感想・評価

工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)
5.0
俳優さんの熱量に涙...

事実をベースにしたフィクション(ノンフィクションではなく)は面白い。あまりにも知らない国だから鑑賞中に自分の中に強烈な興味があることに気付きハラハラドキドキワクワクしてた。

冒頭でも少し紹介はあってある程度当時の歴史としてのその先の"結果"をわかっている上で(この物語の作り方そのものだけども)それまでの"過程"をどうしていくのか観ていて超絶おもしろい。

平壌に入ってからのスリルはたまらなくて儒教が根ざしてる南北朝鮮において"礼"に対する姿勢(目上の人の前では横向いて飲むなど)を一瞬たりとも欠かさず垣間見ることが出来る。

中でもイ・ソンミンさんの熱演はグッと響くものがあって彼の母国を思う気持ちを話す場面は泣ける。北朝鮮の対外経済委員長である彼は国のため外貨獲得に命を賭けて挑んでいるのが伝わってくる。

ファン・ジョンミンさんとイ・ソンミンさんの腹に一物いや何物もあるやり取りは必見。

成熟した民主主義国家の問題点はどれだけ考えても北朝鮮側には理解できないことも描かれていて良かった。

中国国籍を有した朝鮮民族の存在の重要さと白頭山(ペクトゥサン)の憧れ(昨年文在寅大統領も記念写真撮ってたよね)、そして北と南が衝突した朝鮮戦争以降北の核保有に対して韓国がどれだけ脅威に感じてるか肌で感じることが出来るくらいの静かな熱量のこもった作品でした。


日本は蚊帳の外だけれども麻生大臣が最も気にかけている日韓通貨スワップで日本がどれだけ韓国に貢献をしてきたか、私達が普段何気なく使っている"円"の信頼性の高さを感じ入りながらエチオピアのコーヒーを飲みたい。


次は1997年のアジア通貨危機によって韓国が"デフォルト"の瀬戸際に陥った「国家が破産する日」かな。たのしみ。
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