めっちゃ良かった!
1973年のチリでの軍事クーデター勃発時にチリ国内に滞在していたアメリカ人の若者たちが虐殺され、
息子を探す父親と息子の妻によって事件の真相が明らかになっていく。
これがフィクションじゃなくて実話なんだから、面白くないわけがないわ!
実際のホーマン父(映画でも実名)たちの証言を基に、
チリクーデターにおけるアメリカの暗躍を暴くノンフィクション本が原作だから、
その当時のチリ国内のヒリヒリするような緊張感がリアルに表現されててやばい。
これを面白くないとか退屈だとかレビューしてる人は、
僕らが生まれるたった10年や20年前に、
こんなことが実際にあったことをどう思うんだろうな!?
インドネシアでの赤狩り虐殺、
カンボジアのクメールルージュ、
そしてチリでのクーデターに伴う虐殺。
たった10年やそこらの間に、
世界でどんだけの人が虐殺されてんだよって。
当時の空気感や報道のされ方はわからないけど、
国やマスコミの「公表しない権利」が現代よりも大きかった時代。
そんな時代に生きて、死んだ人たち。
それを追体験することは僕らにとって重要だと思うのだけれど。
いくつもの国のクーデターとか、
ぼくらの世界史の教科書では1行や2行でさらっと終わってしまって、
秘密警察による虐殺とか、
巻き込まれて死んだ市井の人々とか、
犠牲者の家族の想いとか、
そんなんは別に知らなくてもいいよ。
って、
そんな教育を受けて育ってるけど。
でもぼくらとそんなに違わない立場の人たちが、
国とか政治とかナンヤラカンヤラに翻弄されて苦しんで。
銃声の轟く異国で息子を探す父親。
理由もなく逮捕される空気の中で夫を探す妻。
この「実話」を伝えるのが映画で、
この「実話」に何も感じないなら、
それはぼくにはわからない感覚だな。