みそらしど

ある少年の告白のみそらしどのネタバレレビュー・内容・結末

ある少年の告白(2018年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

矯正施設のことを初めて知って、現実にまだ存在しているのかと思うとゾッとした。

施設の治療法の一つとして、それぞれの「罪」を告白するスピーチが行われていたが、自分で自分を否定すること、そんな自分に対して「みんな君を愛している」と言われることが、どんな心情なのか想像するだけで苦しかった。

いわゆるマイノリティの人は、おそらくそのことに気づいた時に本人が一番戸惑うんじゃなかろうか。周りの望む自分と、本当の自分のギャップに苦しんでいるのに、その感情を周りが煽るようなことを私はしたくない。

印象に残った対比表現は、ゼィヴィアの「神は自分たちひとりひとりの中にいる」というセリフと、指導員(サイクス?)の「神はそんな君(=同性愛者)を愛さない」だった。自分の信じる存在(神)が、どこから自分を見ているのかという視点の違いは興味深いと思った。自分の中だけにいる神を信じることは、宗教における絶対的な神とはことなるけれど、自分で思考することを放棄してしまうわないと思うので、私は自分の心の中に私だけの神様を住まわせたい。

終始キリスト教(神)の存在が登場する本作だったが、神を信じているからこそ、受け止めきれない事態に直面したときに思考せずに、神の言葉に答えを探そうとしてしまうのかなと思った。心を支えてくれるという面で宗教は大きな働きがあるけれど、絶対的に信じるものに頼って、自分の疑問や思考をストップさせてしまうのは違うと思う。
それに、もしあとから間違いだったと思っても絶対的な存在に従った場合は、間違いとして認めることも出来ないのではなかろうか。