しんご

名探偵コナン ゼロの執行人のしんごのレビュー・感想・評価

3.9
滑り込みで劇場鑑賞。劇場版1作目から数えて23年経ってこのハイクオリティは素直に凄いと思える良作。

本作含め、最近のコナン脚本は何作か櫻井武晴さんが書いているのがまず驚きというべき。輿水泰弘さんと共に「相棒」のメインライターとして当シリーズの名エピソードをいつくも創りあげた方であり、彼の社会派でぶっといストーリーにはとにかく痺れっ放しだった。

彼の流儀はコナンにも確実に継承されていると言えるだろう。同じ国防を目的としながら立場の異なる検察庁と警視庁の関係が本作ではクローズアップされているが、もうこれゴールデンウィーク用作品ってこと完全に忘れてますよね?笑。子供を置いていく気満々のかなり渋いストーリーは見応え充分。

でも、後半からがやはりコナンならではのストーリー展開なのは流石。まさかの動機から繰り出されるダイナミックな犯罪と現実離れしたアクションが目白押しで多少暗さの残る前半と見事な「緩急の対比」を成していた。ネットも祭り状態になっていたがコナンと共闘する安室透がとにかくカッコ良すぎて尊い。知性と野性の同居するセリフ回しは粋だし、彼のドライビングのシークエンスはハリウッド映画にも負けない構図的迫力があった。

余談だが、劇中で日本橋が登場するのは櫻井氏が同じく脚本を担当した「新参者」に対する遊び心かなとも思った。そういう視点で観ても色々面白い映画。
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