ベルサイユ製麺

(r)adius ラディウスのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

(r)adius ラディウス(2017年製作の映画)
3.0
例えば休みの前日などにレンタル店に行って、あと一本借りると割引発生とかって時、ぐるぐる店内を歩き回った挙句、しゃあないかと借りるラス1が、なんとなく良さそうなSF作品だって事ないですか?
…コレがそれです!
わたくしの場合、最寄りのTSUTAYAのSFコーナーの最下段に「ホントのホントに観たいものが思いつかなかったらコレ借りよう」とココロにclip!してある作品が3本くらいあります。しかしそれぞれの見分けはついていません!この作品は…かっこの中にR。ジュンスカへのリスペクトも感じますね!
それにしても、こうも新感覚SFスリラーが幅を利かすのであれば、寧ろ旧感覚SFスリラーを撮るべきではあるまいか?(なんかお手伝いロボットが反乱するとか。)ジャイアント馬場さんならそうすると思う。


道端、横転した車を前に立ち尽くす男。怪我をしている。自分はどうやら自動車事故にあったようだ。ようだ…というのは何も思い出せないから。免許証から名前と住所は分かった。名前はリアム。
走ってくる車に助けを求め近づいたところ、その車は徐々に速度を緩め、道を外れ路肩に停まった。運転席に近づくと…亡くなっている。止む無く徒歩で帰宅する事にしたが、道すがら目に入る人は皆既に事切れている。まるで、さくら水産の食材みたいな色の瞳のまま…。(←イメージです!)
細菌の感染やガスが原因では無いかと疑ったリアムは一先ず家に潜みじっとしている。しかしその後に直面するいくつかの出来事から、リアムはこう結論づける。“自分を中心に半径15mに近づいたモノはみんな死ぬ”
これ以上ウッカリと人を殺してしまわぬよう物置に籠ったリアムだったが、そんな彼の元にある女性が訪れた。彼女はジェーン。リアムの目の前でも平気なようだ。そして彼女もまた記憶が無いという…。

これ、物凄く“この漫画がスゴイ!”とかに選ばれそうな話じゃないですか?主人公に備わった特殊な能力と、それを抑え込むことが出来る(?)女性。二人は止むを得ず協調し、記憶を取り戻す為に動き出します。うおお!四巻ぐらいで失速しそうだー!
ネタバレ…にもならないと思うので書いてしまいますが、物語のキーになるのは“失われた記憶”の方で“能力の秘密”ではありません。さらに踏み込むと“記憶”を巡り物語は意外な展開を見せますが、“能力”については解明されません。
んー。能力についても、なんか適当に理由つけれそうだけどね…。
個人的には興味の対象が謎能力の理屈の方に向いてしまっていたので、結構置いてけぼり感でしたね。設定の特殊性が、純粋に物語を成立させるための道具に過ぎず、現実の何かと重ねて考察することが出来なかったのも寂しかったです…。なんか、もっとこう、…例えばロボットがお手伝いが嫌で反乱するとかさー。
まあ、それぞれ要素はそれなりに悪くなかったと思うので、サスペンスはサスペンス、SFはSFと、ちゃんと分けて丁寧に作れば意外と良いもの作れたりする監督なのかもしれませんね。(偉そう)
あと、主人公の俳優さんが、まるでAIが自動生成したみたいな顔つきのマッチョイケメンだった点も記憶に残りにくかった一因かも…。これがもっと癖のある役者さん、例えばニコラス・ケイジだったらバッチリだったんじゃないの⁈

…ニコラスの半径15mに入った人間は皆何故か一瞬で発情する。しかし当のニコラスはEDで、男女構わず迫ってくるのが怖くなって自室に篭り、フィギュアでブンドドに耽っていたのだが…。