鋼鉄隊長

アンダー・ザ・ウォーターの鋼鉄隊長のレビュー・感想・評価

アンダー・ザ・ウォーター(2017年製作の映画)
3.0
シネ・リーブル梅田にて鑑賞。
「未体験ゾーンの映画たち2018」上映作品。

【あらすじ】
大陸のほとんどが海に沈んだ2095年の地球。ファン・ルン大尉は、海水を真水に変える技術を手に入れるために2017年に派遣されるが…。

「海水を蒸留すれば真水が出来るだろう」というツッコミは野暮である。今ある技術が失われているのもディストピア映画の特徴だ。その一方で、QEDAというタイムトラベル技術が発達しているのが興味深い。
そしてこの作品は、そのタイムトラベルに重きを置いている。なんと自分の分身を過去に送り込むのだ。この設定が面白い。過去に行った者と現在に残る者という、二人の同一人物が登場することによって、価値観が変化したことを見事に表現している。主人公が過去に送り込まれた分身を迎えに行く場面では、現在(2095年)は絶滅している動物が見られたことの感激を分身が力説している。この様子は分身の価値観が過去に興味を持つように変化したことを印象づけているのだが、端から見るとおっさんが同じ顔したおっさんに「動物園に行ってゾウやキリンを見たんだ!」と嬉しそうに報告しているだけなので非常にシュール。
邦題から『ウォーターワールド』のような物語を想像していたが、思いの外斬新なタイムトラベルSFを楽しめた。
CGで描いた未来の風景などに頼らず、おっさん同士の掛け合いでみせるディストピア・サスペンス。正に未体験のSF映画だった。
鋼鉄隊長

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