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志乃ちゃんは自分の名前が言えないのmakoのレビュー・感想・評価

3.8
《2018#234》
原作は押見修造の人気コミック。 
自身の体験をもとに描いた代表作。未読です。 

志乃は人前や緊張すると言葉がうまく出てこない。だが歌は上手い。 
加代は音楽好きだが音痴。ギターを練習中。 
その二人がひょんなことから友達になる。 

志乃は言葉がうまく話せないのがコンプレックス。 
加代は音痴がコンプレックス。 
その二人がバンドを結成し、文化祭に出場することに。練習を通して仲良くなっていく。志乃は居場所を見つけたようだった。二人の時間はとても楽しく観ている私も微笑ましく見えました。孤独だった二人がお互いを必要とし、目標に頑張る。 
そこに志乃の言葉をからかったクラスメートの菊池がバンドに参加したいと言ってきた。 
そこから志乃は加代とぎくしゃくしだす。 

志乃にとって加代は特別な人だったんだろう。自分を認めてくれた友達だから。バンドは二人だけの居場所だと思っていたのに菊池が入ってきて志乃は嫉妬したんじゃないかと思う。それに菊池には悪い印象しかない。 

私も当初、菊池は嫌な奴だなと思いましたがバックボーンが明かされ菊池も悩んでいるのを知ったときには胸が痛みました。 

今作では志乃の痛みだけではなく、加代や菊池も痛みがある。そしてこれはこの3人だけではなく、誰でも痛みがあるんだよと教えられているようでした。 
程度の差こそあれ、皆、何かに悩み苦しんでいる。 
そこで、殻に閉じこもるのか前に進むのか。 

最初は志乃に感情移入しましたが、後から段々志乃の言動が嫌になってきました。 
加代と菊池は志乃と関係修復しようとしてるのに志乃は聞き入れることができない。 

文化祭のシーンとラストが思っていたのと違っていて、いや違ってもいいんだけどそれがなんかモヤっとしました。 
あと志乃に担任教師がかける言葉にイラッときました。頑張ってる人に対して“頑張ろう”と言うのは言っちゃいけない。どれほど傷つけているのか分かっていない。それは励ましではない。 

あまり良いことを書いていませんが良い映画でしたよ。楽しいことだけじゃない、悩みや苦しみ痛みが滲み出る青春映画でした。 

志乃ちゃん役の南沙良、加代役の蒔田彩珠二人の演技はとても良かった。加代が文化祭で歌うシーンはグッときました。 

最終日に観に行けて良かったです。 


劇場鑑賞 #119/2018
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