秋日和

15時17分、パリ行きの秋日和のレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
4.5
少し汚い言葉を吐いただけで、すぐに校長室へ行かなければいけない三人の悪ガキたち。「Nice to meet you,ass hole.」なんて素敵な挨拶は、頭のお堅い奴らの耳には届かない。その部屋の扉はいったい、何度バタンと音を立てて閉められたのだろうか。
そして彼らの悪事に弱り果てたシングルマザーも、『ウォリアーズ』のポスターが貼られた我が子の部屋の扉を激しく閉める。その扉の内側にいる彼らが、どうか正しく外側にいられるようになって欲しいと祈りながら観ていた。
時が経って彼らも大人になり、三人中二人は、昔から憧れていた軍隊の世界へと足を踏み入れる。『ウォリアーズ』の左に貼ってあったポスター『フルメタル・ジャケット』の世界。腕立て伏せと戦車が起こす砂煙を浴びる日々。演習に遅刻しちゃったり、大事な鞄を忘れちゃったり、心配な箇所は多々あるけれど、そんな元悪ガキが扉の内側から訪れる襲撃に立ち向かっていくのだから素晴らしい。
極めてシンプルに描いてみせた、イーストウッドの仕掛ける「扉映画」。バスケ部を中途半端に辞めちゃった奴が、ごみをゴミ箱に捨てるとき、シュートフォームを取らない辺りに過去への想いがチラリと見えた(彼のとなりに座ってる口達者マンは、3ポイントシュートでごみを投げ捨てるという対比があってこそ)。そんな一面でさえ好き。イーストウッドの映画は今回も好き。