ベルサイユ製麺

15時17分、パリ行きのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
3.8
聞きしに勝るどうかしたカードの切り方!!!
一体、《《映画》》とはなんなのだ⁈

監督の脳内世界を出来る限り忠実に再現するのが一般映画だと認識してるのですが…コレは監督の希望や意向は抜きにして、過去のある時点の出来事を可能な限り忠実に再現……イヤなんか違うなー。
えーと、過去の出来事そのままを切り取り、監督の感性で並び替えて、隠された神の意図を浮かび上がらせる“吉田豪のリツイート・メソッド”…?
いやー、全然違うなぁ。イーストウッド≒吉田豪説、面白いけど何にも思いつかない。

実際の事件現場で、実際の当事者達を使って出来るだけそのまま撮る。(登場人物の子供時代みたいな不可能な部分は役者等を使って一般映画みたいに撮る)
取り敢えず、こんなでもそれなりには面白いのです。でもそれはハッキリ言って100%クリント・イーストウッドが撮ってるから。勿論この方法論で撮れる人は他にも居ると思います。ピーター・バーグなら、盛大に(火薬等)盛りつつ「最後ウォルバーグのヘッドショットが決まってたろう?This is AMERICA !フー!!」ってなるだろうし、ソダーバーグならギクシャクと全然盛り上がらなくて「コレがアメリカだよ。ニヤニヤ」って感じで撮れるでしょう。実際、今作はちょっとソダーバーグっぽい気もするけど。
…イーストウッドよ、なんなんだ?このバランスはぁ。何処までが確信で、何処までがゴッドアングルなのかサッパリ分からない。海のものとも山のものともつかない素人達の演技なんて、緩い再現ドラマが関の山、なんなら途中で青汁のCMになってもおかしくないけど、案外“こういうことをするタイプはきっとノリノリでやる筈”と分かっていたのかも…。この内容だから、このスタイルなのだろうか?たまたま?そもそもこの映画ってポジティブな動機で撮ってるの?自分はイーストウッドの事、ちゃんと分かっているのだろうか…?

これ以降、監督が再びこの作風にトライする事が有るのならば、そこから何か浮かび上がってくるのかもしれませんね…。
ヨッシャ、“一番恐ろしいのは人間かもしれませんね”的に感想フワッと逃げたー!

無駄に長い観光シーン、最高です。イーストウッドがそっぽ向いて煙草吸いながら「適当に撮っていて」とか言ってるといいなぁ。子供時代の話の聴き取りも、イーストウッドが拳銃の手入れをしながら「校長に毎日呼び出されたってコトだな⁇👁👁」「…あ、。2回だけしか、いや毎…日です」みたいな尋問めいたのだとイイのに。
いっそ、イーストウッドが今作を撮った時の様子を、やはり本人による再現で、イーストウッドが撮るというのはどうだろう。前衛落語みたいで素敵!