まる

君が君で君だのまるのネタバレレビュー・内容・結末

君が君で君だ(2018年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

アマゾンプライムにて。
3人のストーカーじみた行為の異常さはホームルームの愛田先生にに近しいものを感じたが、あくまで側で見守る兵士であり、直接接触ははからないというところが、3人の人間らしい気弱さの一部を表現していて、だからこそ感情移入できたり、愛着が湧くようなキャラクターになり得たのではないかと感じた。姫に対する、ある意味節度を持った扱い方というか、気持ち悪いけれど、そこにある強烈な愛を感じ取れる描き方が素晴らしいと思った。
途中までは満島真之介が主軸になるかと思っていたら、池松くんがぐいぐい出てきて、この人いつから姫のこと好きになったんだろうか、と少し置いてけぼりになった。池松くんの目が、本当にかわいい。いろんな表情を見せる池松くんに圧倒された。ブラつけてるのに、声張る時にバキバキの腹筋が垣間見えてギャップが際立った。大倉さんの、関係が終わっているのに、姫にすがりつく気持ち悪い元彼感がものすごい気持ち悪くてよかった。
取り立てヤクザの、自分の息子が似たようなストーカー行為をしていたというYOUも絶妙な役回りで、物語のキーパーソンだった。取り立てのヤクザたちが非情なだけでは終わらないところが、物語を悲劇で終わらせないポイントのように感じた。
姫の絶妙なキャスティングも素晴らしいと思った。ただの可愛いアイドルだったら、こんなに揺さぶられることはなかったし、最後の空想のところで、私、可愛くないよ。それも含めて姫だから。みたいなやりとりが、可愛いだけで人を好きにならないし、ただの憧れとかじゃなくて、人間らしいところも含めて君が好きなんだっていう気持ちの表れのようで、最高のクライマックスシーンだったように思う。
自分みたいな平凡な人間でも、こんな風にひたむきに愛されたらもしかしたら幸せかもしれないなぁと感じさせられた。
姫が愛嬌があって可愛い。池松くんとひまわり畑でダンスするシーン、二人ともすごく可愛かった。池松くんがいとも簡単に姫を抱き上げるから、あのバキバキの腹筋を思い出してしまった。
なんだろう、ララランドとか、ジョーカーとか、パーマネント野ばらとか、ものすごい幸せなシーンなのに、どこか切なくて、あぁ、空想の世界の話か、みたいな演出。きっとそうなんだろうなぁと思いつつ、空港のシーンが幸せすぎて、このままエンディングを迎えてほしい、と何度も思った。すごい良かった。
結局姫に早く会いたくてタクシーの運ちゃんに怒鳴りつけるようなクレーマー池松くんは空想だったけれど、タクシーの運ちゃんに穏やかな笑顔で韓国に行くと告げる池松くんが、まだまだ追いかけてストーカー行為を一人続けるのでは、と邪推するとよっぽど不気味だと感じた。
ともあれいろんな池松くんが観れて良かった。
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