あの「ファミリームービー」に似ている(個人的見解)
舞台は東京の下町(荒川区あたり!?)かな。
自分も下町出身なので古い長屋や駄菓子屋は見慣れた風景だけれど、さすがにあのオンボロ一軒家はなかなかのもの。
綺麗なマンションや戸建に囲まれ、時代と社会に取り残されたあの平屋は、まるで一家の生き様を具現化したもののよう。
そんな狭い平屋で仲睦まじく暮す家族は貧乏ながらも豊かに暮らしているように見えるが、血縁はなく、あくまで“生きるため”に利害が一致した関係。
そんな微妙な関係ではあるものの、皆どこかで本当の家族に憧れを抱いていて、互いを支えながら生きている。
厳しい生活ながらも楽しそうに暮らす家族の姿を見ていると、血縁なんて関係なくても幸せな家族としてやっていけるんだと一見思わせるが、それぞれの秘密が徐々に明らかになっていくにつれ、実はとても危ういバランスのうえで成り立っている家族だということに気づく。
最初で最後の家族旅行だったであろう、海水浴のシーンを最後に家族は崩壊の道をたどる…。
奇しくも家族がバラバラになる決定打となったのは長男・祥平のある行動によるものだった。
自分の家族に疑問を持ち始めた故に起こした彼の行動はちょっと早めの反抗期のようにも思えた。
そして、なんとも悲しい結末を迎えることになるが、家族は肩を寄せ合って暮らすだけではなくて、いつかそれぞれが成長し巣立つ場所なんだと皮肉にも気づかされる。
物語の後半。ド正論を振りかざす福祉局の人間に対し、言い返すこともできず涙を流す妻・信代。
福祉局の人間が言うことが間違っていないことは頭では理解できる。だけどそれが本当に正しいのか?
彼らのような社会の仕組みから落っこちた者を生み出したのは誰なのか?
利害関係で結ばれた疑似家族だったとはいえ、人情味にあふれたこの家族の姿を通じて、“家族”の在り方をあらためて考えさせられる。
現代の日本に蔓延する様々な社会問題をひとつの家族に詰め込んだ今作は、是枝監督の集大成的な作品となった。
そして、これまでと同様に観客に対して痛烈なメッセージを投げかけ、問い詰める。
ここまで「家族ってなんだろう」と真面目に考えていたとき、脳裏にふとよぎるものが…。
血の繋がりが一番大切なのか?
社会からはみ出した者たちが寄り添い家族を築くことはいけないことなのか?
責任感はないが、人情味あふれる父・治。
母性あふれる女性(祖母・初枝、妻・信代、娘・亜紀)たち。
…これって、このあいだ見たあの「ファミリームービー」と共通する点がいくつもあるじゃないか!
そう「デッドプール2」だ(笑)!
「万引き家族」の一家は日本社会が生み出した新たなX-MENなのか(たぶん違う...)。
実は今作で問題定義されていることは、日本に限ったことではなくて、全世界共通の問題なのかもしれない!