うっちー

ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋のうっちーのレビュー・感想・評価

4.0
 初めから最後まで、息つく間もないギャグ、小ネタの応酬と、一流キャリアウーマンのサクセスストーリーと、格差恋愛のデコボコ感とワクワク感が入り混じる。ウトウトできないくらいのスピード感もあるので、ぼんやり観てると見逃す事が多そう。

 一見何も考えずに楽しめる系に見えながら、その実結構深いテーマを底に抱いている。主人公のチャーリーほどあらゆる点で恵まれていても、女という性が、どれほどその足を引っ張っているか。口には出さず、表向きには尊重されながらも、根底には隠せない、醜い優越感を抱き続けている男性が多いことを。それは、社会人になる前のティーンエイジャーの頃からすでに始まっていて、強く聡明なチャーリーもやはり、人知れず悔しさを感じてきた。その事がよくわかるエピソードを無理なく織り込んでいる丁寧さや周到さが、さりげなく胸を打つ。また、プロとして闘う彼女の、青っちろくない度量(頑固ではなく、交渉では引き際を心得てる)の見せ方も秀逸だ。
 また、そんなチャーリーを誰よりも理解し、尊重するフレッドという存在の尊さときたら! 一般的にはダメ男に見えながらも、世に蔓延る偏見や偽善を見抜き、ユーモアと勇気で闘い続ける彼のインテリジェンスを一発で見抜くチャーリーも素晴らしい。この二人の結びつきとかわいらしいやりとりが、本当に癒しになる映画。
 
 道化の皮をかぶった、にこやかで賢くてリベラルな闘士の映画。仕事がんばろ!と思える作品でした。大満足‼️
うっちー

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