まちゃん

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのまちゃんのレビュー・感想・評価

4.0
スティーブ・マックィーン、ブルース・リーが闊歩する往年のハリウッド。落ち目になった俳優、リック・ダルトンとその専属スタントマンのクリフ・ブースを通じて描かれるエンタメ業界の華やかさと裏側はこの作品の大きな楽しみの一つだ。リック役のレオナルド・ディカプリオが再現する60年代TVドラマのシーンにはクエンティン・タランティーノの偏愛と遊び心が詰まったパロディとして面白い。クリフとブルース・リーの対決も見ものだ。しかし、その明るさの裏で通奏低音として流れるものがある。マンソン・ファミリーによる凄惨なシャロン・テート殺人事件がそれだ。街に蠢きゴミを漁る半裸の少女達の違和感。その一人に連れられてクリフが訪れたファミリーの住処、スパーン牧場の不穏な雰囲気。映画にしか出来ない空気感を表現したタランティーノの演出力に感心した。ファミリーの一員、スクィーキー・フロムを演じたダコタ・ファニングの不気味さは凄い。一方でマーゴット・ロビー演じるシャロン・テートの美しさも素晴らしい。彼女の無邪気な愛らしさに魅了されるほど悲劇の日への緊迫感が募る。その結末、タランティーノ流の解答はどうなるのか。傑作。
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