カツマ

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3のカツマのレビュー・感想・評価

4.2
過去から舞い戻った亡霊。それは平穏な日々を送るガーディアンズたちに最後の闘いをもたらした。いつもの仲間たちとの危機一髪のBGM、それは綱渡りだけど阿吽の呼吸。きっと彼らのことが好きならば、この最終章に心が動かないなんて嘘だろう。飛んで行ったロケットは愛すべき友の元へと不時着した。過去と今が交錯し、そして未来へのパズルのピースだけが残っていた。

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の32作目となる本作は、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーシリーズの三作目となり、このシリーズに一つの区切りを付ける作品となった。色々あったジェームズ・ガンが定位置の監督の席に座り、いつものメンバーが再集結。それもあって、シリーズの世界観は完全に守られ、ファンには嬉しい大団円がここに完遂されている。前作はスターロードの過去話だったけれど、今回はロケットの過去へと迫り、ガーディアンズの絆を再確認させるような、壮絶さと爽快さが混在した大スケールの一本へと昇華された。ガーディアンズよ永遠に。何かが終わり、また始まる。彼らの冒険がどこへと向かうのか、最後まで見届けてほしいと思う。

〜あらすじ〜

かつてアベンジャーズとして世界を救った宇宙の助け屋ガーディアンズ。だが、その闘いの中で恋人のガモーラを失ったピーター・クイル(スターロード)は、そのショックからいまだに立ち直ることが出来ずにいた。そんな折、ガーディアンズを、新たな敵ハイ・エボリューショナリーの刺客、アダムが急襲。アダムの標的はアライグマのロケットで、ガーディアンズのメンバーを次々と退けつつ、アダムは執拗にロケットに狙いを定めていた。そして、ピーターがロケットの助けに入ろうとしたその刹那、ロケットはアダムの一撃を食らい倒れてしまう。その後、何とかアダムを撃退したガーディアンズだが、ロケットは意識不明の重体。しかも、彼の身体はキルスイッチにより救急アイテムを受け入れず、このままでは死を待つのみ。そこでピーターたちはロケットのキルスイッチを解除するために、それを取り付けたオルゴコープ社(ハイ・エボリューショナリーの根城)に潜入する作戦に移行。そのためにラヴェジャーズの力を借りることになるも、何とラヴェジャーズから派遣されてきたのは死んだはずのガモーラで・・。

〜見どころと感想〜

ジェームズ・ガンの復帰により完全に再現されたガーディアンズワールドがここに炸裂。冒頭からレディオヘッドの『Creep』でスタート、他にもフレーミング・リップスを起用するなど、相変わらずのオルタナ路線のサウンドトラックがいかにも彼らしい。アクションゲームを見ているかのようなシーンもあり、ジェームズ・ガンの灰汁の強さを最も反映できるのはやはりこのシリーズなのかもしれない。キャラクターが多いにも関わらず、それぞれに見せ場を作る構成もさすが。文句なしの続編と呼びたい作品である。

キャストは皆、続投だが、なかでもすっかりガーディアンズのお叱り担当になったネビュラ役のカレン・ギランが、ついにヒロインのポジションに移行しつつあるのも面白い(そして、やはり強い)。元々はヨンドゥのオマケのようだった役のショーン・ガンが一皮剥けていたり、シルヴェスター・スタローン、エリザベス・デビッキといった豪華キャストをサラッと出すあたりもこのシリーズの醍醐味だろう。新キャラの中ではアダム役のウィル・ポールターが良い味を出していて、今後の再登場にも期待がかかる。

ガーディアンズはここで一つの区切りを迎え、また新たな未来を見せてくれるのか。ただ、ジェームズ・ガン監督はDC作品にも関わっているため、ガーディアンズの新作を撮るのは難しいという見解が一般的なようである。他の監督によるガーディアンズシリーズはハッキリ言ってあり得ない。ということはこのシリーズはここで一度完結する可能性が高いだろう。ただ、せっかく新キャラも登場してきたシリーズなので、様々なスピンオフには期待大。どんな形でもいい、ガーディアンズたちの明日を是非とも見守っていたいと思わせてくれる大団円でした。

〜あとがき〜

絶対に劇場で観たかった本作ですが、家庭の事情もあり配信を待つことに。例えリアルタイムで観られなくても、こうして数ヶ月後に配信で観られるのはありがたかったですね。

そして待ちに待った本作はガーディアンズの世界観そのまま!ジェームズ・ガンにしかこのシリーズは撮れないんだ、ということを確信させる三部作の最終章となりました。続編は観てみたいですが、ジェームズ・ガンが監督しないならやめた方がいいかも。今作で勇退となる俳優さんたちに敬意を表しつつ、またガーディアンズの面々に会えることを楽しみに待っていたいと思いますね。
カツマ

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