ぬーたん

エセルとアーネスト ふたりの物語のぬーたんのレビュー・感想・評価

3.8
イギリスの有名な絵本作家レイモンド・ブリッグズが自分の両親をモデルに描いた物語。どこかで見た事ある絵だなあと思ったら『風が吹くとき』『スノーマン』の作家。その絵をそのままにアニメーションにした独特の画が優しさに溢れている。
両親はごく平凡で特別なことは何もない。第二次世界大戦のヒトラー占領下の過酷な激動の時代を生きたとはいえ、ユダヤ人でもなく、特別な経験というほどでもない。裕福ではないが貧しくもない。持ち家はあるし牛乳配達だが仕事もある。仲良くささやかな暮らし。出会いから結婚、子供の誕生、戦争、老後、とごく普通の夫婦の人生だ。それがこうも感動的なのは、この2人はあなたで私で、何処にでも居るワタシだからだろう。観ているうちにこの主人公は自分や自分の親に投影され、感情移入はいとも簡単だ。だから笑って泣けてジーンとする。
平面的と立体的な絵が巧みに混ざり合わさって、シーンによっては実にリアル、例えば戦争時の恐ろしさがよく出ていた。
一番楽しいのは2人の暮らしだ。手回しの洗濯機、黒電話などの古い物も日本で言えば戦後の昭和で懐かしい(いや、私は生まれてないけどさホントよ)狭い庭では花を育て洗濯物を干し、椅子に座って編み物。戦争時は防空壕を作り、石炭置き場にして。そして小さな苗はやがて大きな木となる。
声優も有名な人のようだ。エンディング曲はポール・マッカートニー。
ラストは本人たちの写真が。アニメと同じ、優しそうなお母さんとスラリとカッコいいお父さん。仲良さそうに笑顔で。
あぁ良いなあ。有名でも何でもないし、子供以外にはやがては忘れ去られてしまう存在だけど、これが人生なんだ。
『普通』を懸命に生きたすべての父と母へ。と書いてある。
いや、父でも母でもなくてもすべての人へ。でいいんじゃない?子供が居なくても居ても結婚してなくても。
ここに描かれているのは、普通の人の普通の人生。その普通がどんなに幸せなことだろう!
※おやつは、カフェで宮崎産完熟パパイヤとパッションフルーツのケーキを。なにこれ?めっちゃ美味しいと叫んだよ。宮崎パパイヤ、取り寄せしたい!アールグレー紅茶を2杯。
※夕飯は、かつおのたたき(大根おろし、小葱、ニンニクすりおろし、大葉、みょうが、ポン酢混ぜ混ぜ)マカロニサラダ(市販)豚肉の生姜焼き(新玉ねぎ添え)あさりの味噌汁。あぁ、かつおは美味いなあ。
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