あなぐらむ

幼な妻 絶叫!!のあなぐらむのレビュー・感想・評価

幼な妻 絶叫!!(1976年製作の映画)
3.8
シネロマン池袋さんで鑑賞。

若い二人が上京し、不器用に、傷つけ合いながら愛を育む…なら日活王道青春映画なのだが、ロマンボルノの本作は性が絡む事で妙なツイストが入り、泥だらけの純情✕コレクターに。

坂本長利による強姦マイフェアレディが炸裂し、これがデビューの渚りなを自分の思い通りの女に塗り上げ(メイク、衣装のマジック!)、一方で男の方も、峯不二子的な谷ナオミに籠絡され、あっさり純情は決壊していく。

前半から丁寧に大人の男女の罠の予感を配置してある物語は、観客をずるずると引きずりながら、カタストロフの絡みの中「主人公は17歳である」というパンチを繰り出し、打ちのめされる。

青春映画、女性目線の作品を撮らせたら随一の白鳥信一は、本当に丁寧に、教科書通りのカット割をテンポ良く重ねて行く。安藤庄平の手堅いカメラは渚りなを時折はっとする程美しく切り取っている。好編である。