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愛しのアイリーンのアタフのレビュー・感想・評価

愛しのアイリーン(2018年製作の映画)
4.3
今年の邦画№1は『カメラを止めるな!』だろうけど、№2はこの作品なんじゃないだろうか!?吉田恵輔監督の作品においては『ヒメアノール』よりも闇が深く、『犬猿』よりもドロドロとした家族関係が描かれれいます。

田舎の家に嫁いできたフィリピン娘(アイリーン)と息子を溺愛する姑(ツル)の大バトルが勃発。

吉田恵輔監督の映画は細部にまで"面白さ"と"怖さ"を詰め込んでいるのが素晴らしい。同僚のおばさんとキスした後に念入りにうがいをするところとか、アイリーンと姑であるツルの言葉が通じていないのを逆手にとって悪口を言い合うくだりとかすごく笑えるんだけど、パチンコ店の同僚である愛子のアイリーンに対する裏の態度とか凄く怖い。
笑ったりゾッとしたりで忙しい映画だ。
『犬猿』でも感じたけど、吉田恵輔監督は日常のちょっとした負の部分をいや~に描くのがとても上手いですね。

ですが、ただ厭な感じだけではなく個々の登場人物の心情もしっかりと描いているところが良かったです。アイリーンは自分は金で買われただけなのか?売春と何が違うのか?と葛藤する。ツルもだだ嫌な姑というだけではなく、心の底から息子を愛していて、さらになぜそこまで執着するのかというところも描かれる、誰にも感情移入できないようで、実はしっかり感情移入できるように作られていると思いました。
皆ちぐはぐだけど、それぞれ幸せになりたいし、他人も幸せにしたい、だけど上手くいかない、それどころか滅茶苦茶になってしまう。

役者陣は皆素晴らしい演技だったと思いますが、特筆すべきは姑のツルを演じる木野花ですね。まさに怪物的演技!!頭が固く、喧嘩っ早く、キレると猟銃を持ち出し相手を殺そうとする異常な母ちゃんをまさに怪演しております。終盤のある展開での絶叫は半端なかった。マジで気が狂ったと思ったからね!!

他には河井青葉が演じる愛子のエロさよ!もうおばさんと言える年齢だと思うがエロイのなんのって。伊勢谷友介もいいね!やっぱカッコイイよ!

吉田恵輔監督の映画の中でも一番インパクトのある作品であることを間違いないと思う。あと下ネタの量は半端なく多い、この映画の80パーセントは下ネタで出来ていると言っても過言ではない。
そして物語の推進力は性欲だ!sexシーン凄く多いからね!そして、ここまでお〇んこぉぉと叫び続ける映画も他にはないでしょう(笑)
ある程度覚悟して観たほうがいい傑作?怪作?でした。おススメです。
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